現在、日曜日の午後11時から放送されている『ヘチ 王座への道』。
この時代劇で、ハン・スンヒョンが演じている20代王・景宗(キョンジョン)は、19代王・粛宗(スクチョン)と「朝鮮王朝三大悪女」の1人である張嬉嬪(チャン・ヒビン)の息子として1688年に生まれた。
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チョン・イルが演じている『ヘチ』の主人公ヨニングン(延礽君)の異母兄で、父親の粛宗が世を去った1720年に20代王として即位した。
とても性格のいい王で人望もあったのだが、病弱だったために在位わずか4年2カ月で亡くなってしまった。
在位期間がかなり短かった彼だが、朝鮮王朝の歴代王の言動が記録された正史の「朝鮮王朝実録」には、幼い頃から学問に励んでいたことや形の上で景宗の継母にあたる仁顕(イニョン)王后に孝を尽くしたことなどが書かれている。
このように、「朝鮮王朝実録」の記述の中で最大級の称賛を受けた景宗。さらに、とても面倒見がよかった彼は、異母弟の延礽君の面倒をよく見ていた。
このことから実際の歴史の中での景宗は、しっかりと他人のことを思いやることのできる王だったことがわかる。長生きしていれば、きっと名君として朝鮮王朝を発展させていたことだろう。
しかし、その一方で問題視されていたこともあった。それは、景宗に跡継ぎとなる息子がいなかったことだ。
このことは、チョン・イル主演の『ヘチ 王座への道』やハン・ヒョジュ主演で2010年に放送された『トンイ』といった時代劇で題材として扱われている。
ちなみに『ヘチ』に登場する景宗は、実際の歴史とはイメージが異なる。
実際の景宗は名君の素質がある王なのだが、ドラマに出てくる彼は王としてはっきりとして決断ができず、おどおどしてばかりで高官への指示をまともに出すこともできない。
どう見ても王には向いておらず、かなり情けない王として描かれている。
今後の物語の中で、ハン・スンヒョン扮する景宗は情けない王としての印象を変えることができるのだろうか。ぜひともドラマで彼の動向に注目してみよう。
文=大地 康
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