韓国時代劇は王宮が舞台となった宮廷歴史劇が多いので、朝鮮王朝の国王もひんぱんに出てくる。
朝鮮王朝には27人の国王がいたが、存在が地味すぎてほとんど出てこない人もいれば、繰り返し登場する国王もいる。その中で一番出番が多い国王を考えてみよう。
19代王の粛宗(スクチョン)は特に出番が多い国王だ。政治的な業績も多いが、この人が時代劇によく出てくる理由は、本人というより関係した女性たちのおかげである。
なにしろ、張禧嬪(チャン・ヒビン)やトンイ(淑嬪・崔氏〔スクピン・チェシ〕)を主人公にしたドラマが多いので、そのときに粛宗がひんぱんに顔を出す。
このように、粛宗の場合は、ネームバリューがある女性の相手役として必須の存在になっているのだ。
そんな粛宗よりさらに目立っているのが、21代王の英祖(ヨンジョ)だ。トンイの息子として、韓国時代劇が好きな人に本当におなじみの国王なのだが、この人の出番が多いのはもう1つ理由がある。
それは、息子の思悼世子(サドセジャ)を米びつに閉じ込めて餓死させたという悲劇的な大事件が関係している。
朝鮮王朝の最大の悲劇とも言われる餓死事件だが、このことを題材にした映画やドラマはとても多く、そのたびに張本人の英祖が細かく描かれる。当然ながら、国王として出番が多いはずだ。
以上のように粛宗と英祖は、27人いる国王の中で特に出番が多い国王なのだが、さらに上を行く国王がいる。それが11代王の中宗(チュンジョン)だ。
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この国王は政治的な業績もなく、凡庸な国王であった。しかし、中宗を取り巻く人たちにすごいキャラクターが集まっているのだ。
たとえば、中宗の統治した時期は1506年から1544年までの38年間だが、この時期は歴史的な人物が多かった。
韓国の5万ウォン札に肖像画がある申師任堂(シンサイムダン)、ドラマに何度も描かれたファン・ジニ、『宮廷女官 チャングムの誓い』でおなじみの長今(チャングム)‥‥このような人たちが中宗の統治時代に生きていた。
さらには、異母兄だった燕山君(ヨンサングン)、『七日の王妃』の端敬王后(タンギョンワンフ)、『オクニョ』でも悪行ぶりがひどかった文定王后(ムンジョンワンフ)など、時代劇によく出てくるキャラクターのそばにはいつも中宗がいた。
本人に特別な才能があったわけではなく、周囲にすごい人物が揃っていたという意味で、中宗は時代劇に一番登場する国王なのである。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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