“韓ドラ時代劇の巨匠”とされるイ・ビョンフン監督がメガホンを取り、韓国はもちろん、日本でも大ヒットした『トンイ』。
貧しい身分の賤民(チョンミン)出身でありながら、朝鮮王朝第19代王・粛宗(スクチョン)の側室となり、第20代王・英祖(ヨンジョ)の生母になる淑嬪崔氏(スクピンチェシ)の波瀾万丈の人生を描いた作品だ。
人気女優ハン・ヒョジュ演じるチェ・トンイ(=崔同伊)が、数々の試練を乗り越えながら健気に生きる姿に勇気と感動をもらった視聴者も多かったことだろう。
だが、実はトンイという名前はイ・ビョンフン監督がつけた架空の名前。淑嬪崔氏の本名は歴史に残ってない。『朝鮮王朝実録』だけでなく、朝鮮王朝後期の文献にもヒントはないと言われているのだ。
だが、よくよく調べてみると、淑嬪崔氏の実名に迫る民間伝承があることがわかった。
韓国・南西部の全羅南道(チョンラ・ナムド)の潭陽郡(タミャングン)にあるヨンフン寺院に伝わる逸話によると、1644年にヨンフン寺院のお坊さんが、数十年後に聖君を産む少女がこの寺にやってくると予言して、寺に鐘を作ったという。
それかれ32年後のある日、チェ・ボクスンという少女がヨンフン寺院を訪れた。やがて少女は地元の名士の夫人の紹介で、粛宗の正妻であった仁顕王后(イニョンワンフ)の侍女になったという。その少女が英祖を産んだというのだ。
この逸話はあくまで寺に伝われる話で確証はないが、逸話が真実だとすれば、淑嬪崔氏の本名はチェ・ボクスンということになる。つまり、ドラマのタイトルは「トンイ」ではなく、「ボクスン」となっていたかもしれないわけだ。
(構成=韓ドラ時代劇ドットコム編集部)
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