この秋話題の社会派ドラマ『テプン商事』(Netflixで配信中)で、有能な商社マン、オ・ミソンを演じるキム・ミンハ(30)が注目を集めている。ソウルの街には“オ主任”を演じるキム・ミンハの広告が急増し、その存在感が作品の勢いをそのまま映し出している。
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『テプン商事』は、韓国では初回からtvN土日ドラマで視聴率1位を獲得し、全国平均9.4%、最高10.6%を記録。20~49歳の若年層で高い支持を得ているのも特徴だ。NetflixのグローバルTOP10(非英語シリーズ部門)にも4週連続でランクインし、日本でも、「『梨泰院クラス』を思わせる社会派ヒューマン作品」との呼び声も高い。
1997年のIMF危機を背景に、キャリアも金もない青年カン・テプン(演者イ・ジュノ)が、貿易会社を立て直す姿を描く本作で、新米社長テプンを支える、有能な女性社員オ・ミソンを好演しているのが女優キム・ミンハ(30)なのだ。
両親のいないミソンは、24歳にして祖母と妹たちを養いながら、黙々と健気に働く素朴な女性だ。毎朝いちばんに出勤し、机や電話を拭き、植木に水をやり、次々出勤してくる男性社員たちの好みに合わせたコーヒーを用意する姿は、バブル期後半にOLをしていた筆者の記憶をよみがえらせる。ところが仕事ぶりは本人は無自覚ながら、高いプロ意識と冷静な判断力、さりげないやさしさを備えたスーパーウーマンだ。
そんなミソンを演じるキム・ミンハは、1995年生まれの30歳。漢陽大学演劇映画学科出身で、Apple TV+の国際ドラマ『Pachinko パチンコ』(2022年)で日本統治時代を生きる少女を演じ、その繊細かつ力強い演技で世界的に注目を集めた。
『テプン商事』では、回を重ねるごとにその表情や立ち居振る舞いに自然な華が宿り、“オ主任”がどんどん美しくなっていく過程も、本作の見どころのひとつ。そしてその変化はドラマの中だけにとどまらない。いまソウルの街では、彼女がモデルを務めるスキンケアブランド『cépoLAB(セポラボ)』の広告が急増している。
バス停のシェルターや、バスの車内、オフィスビルのエレベーター内など、ふと見上げた先に“ドヤ顔のオ主任”が、すっかり女優の顔でこちらを見つめている。ドラマ内でも印象的なチャーミングなそばかすも、広告ではリアルな質感のまま、より魅力的に映し出され、いまの韓国が好む“ナチュラルビューティー”を象徴している。
韓国では、人気や話題性が瞬く間に広告へ反映される。ひとつのドラマがヒットすると、街中が一気に“その作品の顔”に染まるスピードは、韓国エンタメの特徴でもあり、ソウルの街の活気そのものだ。
役では控えめでも、そこはやはり女優。広告では思わずハッとするような色気と、鮮烈な存在感を放つキム・ミンハ。近々ソウルを訪れる予定の方は、ぜひ街角で“オ主任”を探してほしい。特にバス内の動画広告のドヤ顔は斬新なので必見!ドラマとはまた違う、キム・ミンハの新しい魅力に驚くはずだ。
(文=田名部 知子)
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