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主演じゃないのに気になって仕方ない…2025年韓国ドラマで注目の「サブキャラ」は?

2025年12月21日 俳優名鑑 #田名部知子
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近年の韓国ドラマでは、主演に劣らぬ存在感を放つサブキャラクターが、作品の完成度を左右している。本稿では、2025年の話題作で強い印象を残したサブキャラを、日本の俳優に重ねながら紹介する。

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ユン・ギョンホ(44)/『トラウマコード』(全8話)

大学病院の肛門外科教授役で、チュ・ジフン演じる主人公に愛弟子(チュ・ヨンウ)を奪われる。常にライバルの勢いに圧倒される「小物の権威」をコミカルに体現。中盤、娘の命の危機に直面し、教授としてのプライドや過去の確執をかなぐり捨ててライバルにすがる父親へと変わる。その切実な姿がキャラクターに深い人間味を与え、視聴者の涙を誘った。

(写真=Netflix)

【日本の俳優に例えるなら:佐藤二朗】

恰幅のある体格と強面ながらどこか憎めない佇まいと愛嬌、あたふたとした挙動が共通する。シリアスとコメディを自在に行き来する演技スタイルや、どこか憎めない小市民性も重なる。

チェ・デフン(45)/『おつかれさま』(全16話)

端正なルックスと184cmの長身を持ちながら、そのビジュアルを惜しげもなく崩し、「情けない残念な男」を演じさせたら右に出る者はいない。

『おつかれさま』では、ヒロイン(IU)の見合い相手で、嫉妬深くメンツを重んじる嫌味なモラハラ男を演じきった。劇中の口癖「ハクシ!(クソッ!)」は、韓国で流行語になるほどの反響を呼んだ。30代の傲慢な姿から、60代の気の弱った老人への変遷を見事に演じ分け、第61回百想芸術大賞で助演賞を受賞。

注目のきっかけとなった『愛の不時着』では、詰めの甘さから妹セリ(ソン・イェジン)に言い負かされてばかりいる「財閥家の無能な長男」を演じ、一見有能そうな外見と中身のギャップを際立たせた。

(写真=Netflix)

【日本の俳優に例えるなら:安田 顕】

二枚目の外見と情けなさの落差、追い詰められた男の表現力が共通する。視聴者に「本当にしょうがない奴」と思われながら、最後には愛着を抱かせる息抜き的な存在感が重なる。

イ・ジュアン(29)/『暴君のシェフ』(全12話)

長身と甘いビジュアルで注目を集めた2025年下半期のライジングスター。『暴君のシェフ』で王に仕える道化師コンギル役を熱演し、「あのイケメンは誰?」とSNSで一気に拡散された。

乗馬100時間、アクションスクール200時間という過酷な訓練を経て、武芸の達人という難役をこなし、スタントに頼らず多くの場面を自ら演じた。マイルドな色気と力強さを併せ持った「マッチョ&セクシー」なコンギル像を確立し、単なるビジュアル要員にとどまらない存在感を示した。

(写真=tvN)

【日本の俳優に例えるなら:水上恒司(旧名・岡田健史)】

それまでほぼ無名だった存在が、「衝撃的な美男子」として一気に注目を集めた流れから、徹底した役作りを経て実力派へ。「次世代の本格派」としての期待値も一致する。外見については、イ・ジュアン自身もオダギリジョーに似ていることを認めており、憧れの存在だと語っている。

ヨム・ヘラン(48)/『おつかれさま』(全16話)

登場した瞬間、作品の空気を一変させる名女優。舞台出身の確かな技術を武器に、過酷な人生を背負った人物に血を通わせる演技で、韓国ドラマ界に欠かせない存在。

『おつかれさま』では、IU演じるヒロインの母親役として「執念の母性」を見せる。不愛想な態度の奥にある、娘への深い愛情を表現した。「出てくるだけで涙腺が緩む」「ドラマの感情の軸を支えている」という声が相次ぎ、第61回百想芸術大賞では助演賞を受賞。作品の格を押し上げた。

『マスクガール』(2023年/Netflix)での演技にも触れずにはいられない。息子を殺された母親役を演じ、怒りと喪失、復讐心が絡み合う狂気を体現。世界各国で高い注目を集めた同作で、その凄みある演技が改めて評価された。

(写真=Netflix)

【日本の俳優に例えるなら:樹木 希林】 

主役を食うほどの存在感を放ちながら、「作品のリアリティを底上げする」という点が共通している。『おつかれさま』で見せた母親像は、樹木希林が生前得意とした「毒気があるけれど愛おしい、等身大の母親・祖母役」に通じるものがある。

Netflixをはじめとするグローバル配信プラットフォームの参入により、韓国ドラマは制作資金と時間の余裕を得た。その結果、助演やサブキャラクターまで丁寧に描かれるようになり、物語の世界観の厚みに大きく貢献している。いまやサブキャラクターの魅力こそが作品の完成度と余韻を左右し、ヒットの絶対条件であると言えるだろう。

(文=田名部 知子/Xで気ままなソウルの日常を発信中:@t7joshi)

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