韓ドラでもお馴染みの“粉食”。あの庶民的な食べ物たちの歴史と魅力をご紹介!

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韓国ドラマを見ているときに、道端に出ている屋台のような場所で串にささった練りもの(=韓国式おでん)や、簡単なイスとテーブルが置かれた狭い店内でトッポッキなどをつついているシーンを見たことがある方も多いのではないだろうか。

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実は、これは韓国の「粉食(プンシク)」と呼ばれる食文化。ちょっとした歴史的背景があるのでここで少し説明をする。

韓国戦争後、韓国は深刻な飢餓と貧困に直面した。米価は高騰する一方で、アメリカから援助された小麦粉は韓国人にとって馴染みが薄く、処理に困る状況が続いた。そこで政府は1960~1970年代にかけて、国策としてほぼ強制的に「混粉食奨励運動」を行い、この取り組みを通じて小麦粉料理が庶民の間に広く浸透していった。

「粉食」は文字通り「小麦粉を使った料理」を指しているが、だんだんと意味が広がり、現在は「手軽に食べられる軽食全般」を意味するようになっている。

また、庶民的な価格で楽しめるのが一番の魅力。日本でいう牛丼などのような韓国版ファストフードともいえるだろう。さらに、通年食べられるメニューだけでなく、季節限定で登場するストリートフードも。冬場はプンオパン(韓国版たい焼き)、黒糖やナッツを詰めたホットクなどの温かいおやつは、寒い季節に欠かせない。粉食は、お腹を満たすだけではなく、季節の移ろいや街の活気を味わえる文化でもある。

そこで今回は、代表的な粉食メニューや、筆者個人が思い出のあるメニューを中心に紹介していきたいと思う。

①トッポッキ(떡볶이)

韓国を代表する屋台グルメといえば!で、まず思い浮かぶメニュー。韓国語で「トッ」は餅、「ポッキ」は炒めるを意味する単語。細長い餅を甘辛いコチュジャンで煮込んだものだ。韓国ドラマでも、学校帰りに友達と分け合って食べたりするシーンがよく描写されている。「青春の味」として多くの韓国人にとって親しみがあり、なおかつ学生時代を思い出す懐かしい一品でもある。

基本の具材は餅に加えて、薄切りのオムク(魚の練り物)が入っているのがオーソドックスなタイプ。仕上げにソースをたっぷり絡めて、お皿に盛られて提供される。屋台では爪楊枝で刺して食べることが多く、軽食店や家庭で作る場合は野菜を加えてアレンジされることも多い。餅も「米トッポッキ」と「小麦粉トッポッキ」があり、屋台ではもちもちした米、即席鍋にはスープをよく吸う小麦粉が使われるなど、食べ比べも楽しめる。

②ティギム(튀김)

トッポッキのお供として欠かせないメニュー!日本でいう「天ぷら」だ。屋台によって揚げている食材のラインナップはさまざまだが、さつまいもやイカ、餃子、そして韓国ならではの「キムマリ」などが並んでいるのが一般的。

「キムマリ」とは、春雨(チャプチェ)を海苔で巻いて揚げた料理。もちもちした春雨とサクサクの衣の食感が本当に…本当に……絶妙。トッポッキとの相性もばっちり。そしてお酒との相性もばっちりだ。筆者は韓国料理のお店に行って、メニューにキムマリがあったときは必ずといっていいほど注文している。今まで存在は認識していたけど、まだ実際に食べたことがない!という方はぜひ今度挑戦してみてほしい。

③オデン・オムク(오뎅・어묵)

日本でいうかまぼこやさつま揚げに近い食べ物。白身魚のすり身に塩などを加えて練り上げ、揚げて作られたものだ。白身魚がよく使われ、スープや煮物など幅広い料理に活用されている食材である。

屋台では、このオムクを串に刺し、煮干しや大根でとった出汁でじっくり煮込むのが定番スタイル。食べるときに熱々のオムクを取り出し、タレをつけて食べる。さらに、屋台ではこの煮込んだ出汁をセルフで紙コップに注いで自由に飲める場所も多い。オムクを買うと自動的に出汁が飲めるシステムだ。

筆者は留学生時代、秋冬の間お酒を飲んで楽しくなった帰り道でこのオムクが売っている屋台を見つけると、寄り道して酔いを醒ましていくことが多かった。「寒いね~」といいながらオムクをほおばり、出汁を飲む瞬間は至福。体の芯から温まる韓国の冬の風物詩だ。

④キンパ(김밥)

昨今は日本でもおなじみになってきた韓国式海苔巻きのキンパ。日本の海苔巻きとよく似ている見た目だが、実際にはいくつか違いがある。ご飯に酢を混ぜず、代わりにゴマ油と塩で風味をつけること、中の具材が多種多様なことが特徴だ。人参やたくあん、卵焼き、炒めたごぼうなど、色とりどりの具材が巻かれており、栄養バランスにも優れている。

家庭料理としても親しまれ、街の至るところに専門店があるほか、「粉食(プンシク)」と呼ばれる軽食店でも定番メニューとして提供。手軽に作れて持ち運びしやすく、お弁当や軽食にぴったりのキンパは、韓国でもおなじみの人気フード。個人的に韓国旅行へ行ったときの朝ごはんにもちょうどよいのではないかと思っている。

「今日はパンとコーヒーを食べたい気分ではない。だけど、しっかり栄養も取りたい、お腹にたまるものがいい…」。そんな日にまず頼っていたのが、私はキンパ。やはり最後にエネルギー源として頼るのはお米だ。

似ているようで違う韓国のファストフード文化。美味しい料理がたくさんある韓国だが、旅行に行った際は現地の人が親しんでいる粉食(プンシク)にもぜひチャレンジしてみてほしい。

(文=豊田 祥子)

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