放送から10年以上が経っても根強い人気を誇っている傑作時代劇『トンイ』。ヒロインのトンイを演じたハン・ヒョジュの存在感が際立っているが、もう一人、ドラマの中で人気を博したキャラクターがパク・ハソンの扮した仁顕(イニョン)王后であった。
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ドラマの中で彼女は本当に品がいい王妃だった。今まで韓国時代劇で多くの女優が仁顕王后を演じたが、王妃にふさわしい上品さという点で、『トンイ』におけるパク・ハソンは最高の佇(たたず)まいを持っていた。
そのようにパク・ハソンが演じた仁顕王后がトンイと感動的な名場面を演出したのが第38話であった。
イ・ソヨンが演じた張禧嬪(チャン・ヒビン)の策略によって、一度は廃妃になってしまった仁顕王后だが、トンイの尽力もあって再び王妃として復帰できるようになった。
こうして再会できた仁顕王后とトンイ。2人はゆっくりお茶を飲みながら特別な喜びにひたっていた。
仁顕王后は心からトンイに感謝した。
「そなたのおかげで王宮に戻ってこられた。そなたが私のために力を尽くしてくれたことに対して、生きている間にお返しできるかどうかわからない」
そう言われたトンイは、謙遜してこう言う。
「私一人の力ではありません」
「けれど、そなたがいなかったら不可能なことだった」
仁顕王后は改めてトンイの労をねぎらいながら、きっぱりと「今後はそなたを守るから」と強い決意を述べた。
「そなたは自分ができることをしなさい。それができる力を私がそなたにあげるから」
「力とは?」
「まだ宮中に残っている張禧嬪に対抗する力。そして、そなたが自分の力を発揮するための力……」
この言葉は、張禧嬪に対する仁顕王后の激しい対抗心を表わしていた。そして、強敵の張禧嬪に負けないように2人は結束することを誓い合ったのだ。
仁顕王后は廃妃を乗り越えたことで精神力が強くなった。さらに、仁顕王后とトンイの強い信頼感がますます高まっていった。
それを大いに確認できたのが第38話の名場面であった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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