【歴史コラム】『ポッサム』に登場する左議政はなぜ絶大な権力を持っているのか

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チョン・イルとクォン・ユリが主演している『ポッサム~愛と運命を盗んだ男~』を見ていると、イ・ジェヨンが演じているイ・イチョムが政治的に巨大な存在になっている。

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キム・テウが扮する光海君(クァンヘグン)も、イ・イチョムのほうが家臣なのに彼に一目を置いている。それほど政治的な力を持っているイ・イチョムは左議政(チャイジョン)だ。

この役職は、どれほど重要なのだろうか。それを知るために、朝鮮王朝の官僚組織について理解しておこう。

朝鮮王朝では、政治の最高機関を「議政府(ウィジョンブ)」と言った。ここが重要な政策を作っていた。そして、議政府のトップが領議政(ヨンイジョン)だった。この官職は現代で言えば総理大臣に該当した。さらに、その下に位置したのが左議政と右議政(ウイジョン)であった。2人は現代的には副総理に相当した。

以上の3人が議政府のベスト3であった。品階は3人とも正一品である。つまり、領議政と左議政と右議政は品階のうえでは同等だった。ここが重要なのである。領議政は官僚の最上位であったが、名誉職になっている場合もあった。そのときは、実質的に左議政が政治を仕切っていくことが多かった。

イ・イチョム(左)は光海君(右)が警戒するほど権力を持っていた(写真=© MBN All rights reserved)

韓国時代劇でもおなじみ

このように、左議政は領議政以上に強い影響力を行使するケースがあったのだ。結局、『ポッサム~愛と運命を盗んだ男~』に登場するイ・イチョムも左議政として領議政を上回る権力を持っていたのである。

次に、議政府以外の重要官庁を見てみよう。

・承政院(スンジョンウォン)~王の秘書役で特に王命の出納事務を担当
・司憲府(サホンブ)~官僚の不正を糾弾して風紀を守る
・司諫院(サガウォン)~王に諫言して政治の非を指摘する
・義禁府(ウィグムブ)~王命に従って罪人を取り調べる
・漢城府(ハンソンブ)~首都の司法と行政と治安などを担当

以上の官庁の長官も重要な立場を保っており、正一品から正二品の品階を持っていた。 そして、正二品以上の品階を持つ人が「大監(テガム)」と呼ばれた。韓国時代劇でもおなじみのように、高い官職に就いている人は「大監(テガム)」と呼ばれて重責を担っていたのである。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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