【『トンイ』の二大キャラ比較】「聖女」と「悪女」の根本的な違いはどこに出るのか

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『トンイ』というドラマでは、女優として好感度が高いパク・ハソンが歴史的にも評判が良かった仁顕(イニョン)王后を演じていた。それだけに、仁顕王后のイメージはますます良くなっていた。

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一方、『トンイ』で張禧嬪(チャン・ヒビン)に扮したのがイ・ソヨンだ。彼女は演じる役に応じて表情にも品がある。それゆえ、張禧嬪も『トンイ』では極端な悪役になっていなかった。むしろ、知性を感じさせる場面もあった。

こうして『トンイ』において仁顕王后と張禧嬪の登場場面では、激しく感情をぶつけあう修羅場のような描き方をしていない。そこがイ・ビョンフン監督の味わい深い演出であり、人間を肯定的に描くスタイルが『トンイ』では好評を博した。

それでも、歴史上の大事件こそはドラマチックに描くのは当然のことだ。

特にそれは、仁顕王后が廃妃になって張禧嬪が王妃に昇格する場面で現れた。歴史的には1689年の4月のことであった。

『トンイ』ではパク・ハソンが仁顕王后を演じてイ・ソヨンが張禧嬪に扮した

「聖女」と「悪女」の分岐点

その前年に側室の張禧嬪は粛宗(スクチョン)の息子を産んでいる。それまで彼には娘はいても息子はいなかった。30歳になろうかという国王が後継ぎに恵まれなければ、王朝では一大事になる。このときは仁顕王后も本当に心配しており、自分が子供を産めないのであれば側室が王子を産めるように彼女も自ら配慮していた。彼女はそういう気配りができる女性だった。

それゆえ、張禧嬪が出産すると仁顕王后は自分のことのように喜んだという。そのあとも、仁顕王后は生まれた王子を大事にあやした、という記録も残っている。

しかし、張禧嬪は王子を産んで増長してしまった。なんと、「王妃が王子を毒殺しようとしている」という噂を流した、という。さらには、「王妃が張禧嬪を呪い殺そうとしている」という風聞まで流れたと言われている。

結局、仁顕王后は粛宗によって廃妃にされてしまうのだが、そういう仕打ちを受けても、彼女は実家で質素に暮らして、弁解はしなかった。一方の張禧嬪は王妃になって傲慢さが露骨になって王宮の中で顰蹙(ひんしゅく)を買った。

この対照的な行動が後の「聖女」と「悪女」の分岐点になった。仁顕王后が「聖女」として慕われたのは、彼女の性格が本当に素晴らしかったからだ。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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