「時代劇の巨匠」と呼ばれるイ・ビョンフン監督のドラマにはおなじみの俳優が多いが、パク・チョンスもその1人である。
彼女は『宮廷女官 チャングムの誓い』では、女官長を重厚に演じていた。
そんなパク・チョンスは『トンイ』の前半部分でも重要なキャラクターで、独特な存在感を見せていた。
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その役は明聖(ミョンソン)王后であり、アクの強い個性でドラマに緊張感をもたらしていた。
歴史上で明聖王后は、どんな女性だったのだろうか。
彼女は19歳のときに長男を出産した。それが19代王の粛宗(スクチョン)である。
この粛宗を明聖王后は本当に溺愛していて、それは彼が国王になった後も変わらなかった。
本来なら、閣議に女性が立ち入るのは禁止なのだが、明聖王后は粛宗の統治ぶりがとても心配だったあまり、公式会議の場にも出て行って、いろいろと意見をするようになった。それも、我が子に良かれと思ってやったことなのだが、高官たちからかなり抗議を受ける羽目になってしまった。
しかし、明聖王后は意に介さなかった。神経が図太かったのだ。
また、粛宗が張禧嬪(チャン・ヒビン)を寵愛するようになると、気に入らない彼女を王宮から追い出してしまった。これには、息子の粛宗も逆らうことができなかった。
とにかく、明聖王后は粛宗のためなら何でもやり遂げた。それだけに、彼が重病に陥ったときは、本当に心配でならなかった。
巫女(みこ)に祈祷してもらうと、「母の体内にわざわいがあり、それが王様の病の元になっておられます」と宣告されて明聖王后は愕然とした。
彼女はとにかく身体を清めるために、何度も水浴びを繰り返した。時期は真冬だったので、冷水が明聖王后を衰弱させ、彼女は亡くなってしまった。
ところが、その後に粛宗が奇跡的に回復した。まさに、明聖王后は粛宗の身代わりになったのかもしれない。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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