話題のドラマ『コクドゥの季節』が作った希望探しの新しい表現スタイル

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ラブストーリーは究極的に主役2人の愛のプロセスを情緒的に描くものだが、『コクドゥの季節』では、何層にも積みあがった男女の愛の軌跡をゆっくりたどる楽しみが多い。

前提となるエピソードは、「999年前、令嬢ソリ(イム・スヒャン)は政略結婚によって愛する武士オ・ヒョン(キム・ジョンヒョン)と引き離された。絶望の中でオ・ヒョンは死んでしまい、悲観したソリも自害する」という逸話だった。

【関連】転生ドラマ新境地!『コクドゥの季節』はどんなドラマ?

ドラマ『コクドゥの季節』(写真提供=NBCユニバーサル・エンターテイメント/©2023MBC)

前世の悲恋が現代に語り継がれるとき、『コクドゥの季節』では様々な登場人物が躍動的に動いていた。

象徴的なのがキム・ジョンヒョンの存在感だった。彼は三者三様の人物を果敢に演じていた。それは、前世の武士オ・ヒョン、現代のエリート医師ト・ジヌ、そして、人間に天罰を下す死神コクドゥである。

ドラマ『コクドゥの季節』(写真提供=NBCユニバーサル・エンターテイメント/©2023MBC)

結局、コクドゥの魂は殺されるト・ジヌに乗り移っていくのがストーリーのツボであり、1人の女性を救う役割を持っていた。

その相手になるのが、イム・スヒャンの演じるハン・ケジョルだ。彼女は何をやってもうまくいかない女医なのだが、運命的なインスピーションを感じたコクドゥはハン・ケジョルを絶対に見放さない。それは、彼女が前世の令嬢ソリの生まれ変わりだったからなのか。その疑問にドラマはゆっくり答えてくれる。

ドラマ『コクドゥの季節』(写真提供=NBCユニバーサル・エンターテイメント/©2023MBC)

そんな2人を囲むキャラが多彩だ。ハン・ケジョルの弟で凶悪犯を追う刑事ハン・チョル(アン・ウヨン)、コクドゥを補佐する半神(半分だけ神)のオクシン(キム・イングォン)とカクシン(チャ・チョンファ)、そして、新薬開発で巨万の富を狙う悪人キム・ピルス(チェ・グァンイル)など。

こうした人たちがドラマを大いに賑わせてくれるのだが、特にキム・イングォンとチャ・チョンファは、キム・ジョンヒョンが主演した『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』でも絶妙な可笑しさを醸し出していた名コンビであり、今回も俗っぽい世界を縦横に見せてくれて喝采を送りたいほどであった。

ドラマ『コクドゥの季節』(写真提供=NBCユニバーサル・エンターテイメント/©2023MBC)

こうしたキャラが生き生きしていた『コクドゥの季節』で感心するのは、前世の縁を引き継ぐファンタジー・ロマンのドラマでありながら、人間の善悪や情愛が的確に描かれていることだ。

いわば、『コクドゥの季節』はありえない夢物語ではないのだ。むしろ、様々な人生が交差する「人間ドラマ」だと言える。そのように、人生の機微に触れているうちに不思議なファンタジーの世界に引き込まれていく、というのが『コクドゥの季節』の本質なのかもしれない。

しかも、最初から様々な伏線が示されていくところが興味深い。その伏線が次々に起承転結の枠組みにおさまっていくのが「ストーリーの妙」であり、練りこまれた巧みな物語が根底にあると感心してしまう。

ネタバレを防ぐために詳しくは書けないのだが、『コクドゥの季節』が全編を通して提起していたのは「信じることで叶う夢がある」というモチーフだ。

どんなに理不尽な事実が主人公たちに起こったとしても、「諦めないで信じ切ることで新しい世界が開かれてくる」というメッセージを感じ取ることができる。

そういう意味で、『コクドゥの季節』は希望を見つけられるドラマであり、そこに新しい表現スタイルがあったと言える。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

ドラマ『コクドゥの季節』(写真提供=NBCユニバーサル・エンターテイメント/©2023MBC)

☆ドラマ情報
『コクドゥの季節』
演出:ペク・スチャン/キム・ジフン
脚本:カン・イホン/ホ・ジュンウ
出演:キム・ジョンヒョン、イム・スヒャン、アン・ウヨン、キム・ダソム、キム・イングォン、チャ・ヨンファなど。

☆2023年7月5日(水)よりU-NEXTにて独占先行配信開始!
DVD-SET1 2023年9月6日(水)発売
DVD-SET2 2023年10月6日(金)発売
各16,720円(税抜15,200円)
※2023年9月6日(水)レンタルDVDリリース開始

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