重厚な歴史絵巻として知られる『奇皇后 二つの愛 涙の誓い』だが、その舞台裏は意外なほど笑いに満ちていたしらい。
その中心にいたのが、元の皇帝タファンを演じたチ・チャンウクだ。権力闘争に翻弄される悲劇的な人物像とは裏腹に、撮影現場の彼は周囲を明るくするムードメーカーだった。
ハ・ジウォン主演の本作は今も根強い人気を誇る名作だが、長期にわたる時代劇の撮影は決して楽なものではない。そんな過酷な現場で、チ・チャンウクは持ち前の茶目っ気とサービス精神で空気を和らげ、多くの印象的なエピソードを残している。
なかでも語り草になっているのが、第10話のある場面だ。貢女としてタファンのもとに送られてきたヤン(ハ・ジウォン)が、彼の足を拭くシーンでの出来事である。
ハ・ジウォンが顔を近づけた瞬間、チ・チャンウクは突然、足をぶらぶらと揺らしたり、指を開いたり閉じたりと、まるで子どものようないたずらを連発。真剣な撮影現場にもかかわらず、その様子にスタッフも共演者も吹き出してしまったという。
当然ながら、間近でそんな動きを見せられたハ・ジウォンも笑いをこらえきれず、そのシーンは何度も撮り直しに。
さらに本番に入ると、今度はチ・チャンウク自身が笑ってしまいNGになるというオチまでつき、現場は終始和やかな雰囲気に包まれていた。彼はまさに、緊張感の続く時代劇撮影における“清涼剤”のような存在だった。
しかし、笑いだけでは終わらないのがチ・チャンウクのすごさである。第6話では、彼の役者としての覚悟がはっきりと伝わる場面があった。タファンが高麗の都・開京に潜入するため、死体を装って塩漬けにされるという衝撃的なシーンだ。
この場面でチ・チャンウクは、実際に塩を使った状態で撮影に臨んだ。ところがスケジュールの都合上、その後も十分に塩を落とせないまま撮影を続行することになったという。素肌に塩が残ったままの状態は想像以上に過酷で、撮影後には体のあちこちに赤いじんましんが出て、周囲を心配させた。
それでも彼は弱音を吐かず、最後まで役に集中し続けた。明るく現場を盛り上げる一方で、必要とあらば身を削ってでも演技に挑む。そのギャップこそが、チ・チャンウクが多くの作品で愛され、信頼されてきた理由なのだろう。『奇皇后 二つの愛 涙の誓い』は、彼の人柄と役者魂の両方が刻まれた一本でもあるのだ。
構成=韓ドラLIFE編集部
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