キム・ジョンヒョンは、なにげない表情にも「誠実さ」が滲み出る俳優だ。それは、今までの作品にも色濃く反映されている。
たとえばドラマ『愛の不時着』では詐欺師のク・スンジュンを演じたが、北朝鮮で真実の愛に目覚めた彼は、愛する人を守るために予想外の真面目さを貫いていく。そこにはドキドキするような男の哀惜が心地よく感じられた。
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また、ドラマ『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』では歴史上で評価が低い朝鮮王朝25代王・哲宗(チョルジョン)を演じた。
このとき、キム・ジョンヒョンは史実で理解されない国王に新しい光を与え、悪徳高官たちが仕切る悪政に抗って正義を守る国王に完全になりきっていた。このドラマでもキム・ジョンヒョンの誠実さを十分に感じ取ることができた。
そして、2年ぶりに主演した『コクドゥの季節』。冒頭の逸話が非常に印象深かった。
1000年前、キム・ジョンヒョンが演じた武士オ・ヒョンは、高貴な女性ソリ(イム・スヒャン)を心から愛していたが、不幸にもソリは政略結婚をさせられた。悲しみの中でオ・ヒョンは覚悟の死を遂げた。結果的にソリも自害してしまう。
ところが、オ・ヒョンは死後の世界でもソリをずっと待ち続けていた。そのことで怒った神によって呪いをかけられて、誠実な武士は死神のコクドゥにされてしまった。
その呪いを解くためには、生まれ変わったソリの愛を得なければならない。そんなミッションを課されたコクドゥは、さまよい続けていた。そして、1000年後の現在に物語は移っていくのである。
このとき、ソリの転生した姿をコクドゥが見つけられるかがポイントだったが、地方病院で働く女医ハン・ケジョル(イム・スヒャン)がまさに「運命の人」だった。
以後、コクドゥは恵まれない環境で苦しんでいたケジョルを支えて、彼女の愛を獲得しようと躍起になる。そのために、コクドゥは陰謀によって殺された外科医ト・ジヌの身体に乗り移ってケジョルを徹底的にサポートしていく。
ただし、条件が厳しい。わずか99日間しか現代社会で生きていられないのだ。過酷な宿命を背負ったコクドゥは、果たしてケジョルから「愛している」というラブメッセージを受け取ることができるのか。
そのせめぎあいを『コクドゥの季節』はスリリングに描く。特に、ケジョルの言葉に翻弄されるコクドゥがけなげだ。ケジョルに服従したり、あるいは、彼女を守るために奮闘努力したり……。その過程でコメディとロマンスの要素が満載となっていくのが痛快だ。
『コクドゥの季節』は奇想天外なストーリーながら美しいラブコメの王道をひた走ってくれる。その中でキム・ジョンヒョンの演技はしっかり的を射抜いていく。どこまでも、キム・ジョンヒョンは誠実さを感じさせる俳優なのである。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
☆ドラマ情報
『コクドゥの季節』
演出:ペク・スチャン/キム・ジフン
脚本:カン・イホン/ホ・ジュンウ
出演:キム・ジョンヒョン、イム・スヒャン、アン・ウヨン、キム・ダソム、キム・イングォン、チャ・ヨンファなど。
☆2023年7月5日(水)よりU-NEXTにて独占先行配信開始!
DVD-SET1 2023年9月6日(水)発売
DVD-SET2 2023年10月6日(金)発売
各16,720円(税抜15,200円)
※2023年9月6日(水)レンタルDVDリリース開始
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