2006年から、高句麗(コグリョ)を中心に古代を描いた時代劇がたくさん作られるようになり、そうした流れの中で『朱蒙(チュモン)』『大祚栄(テジョヨン)』『太王四神記』といった大ヒット作が生まれた。この時期は「三国時代の歴史ドラマ」が時代劇のブームを牽引していた。
そんな中で奮闘したのが、朝鮮王朝のドラマを作っていたイ・ビョンフン監督であった。
すでに彼は、『ホジュン 宮廷医官の道』と『宮廷女官 チャングムの誓い』の大成功で「時代劇の巨匠」と呼ばれていた。なにしろ、前者の最高視聴率は時代劇歴代1位の63・7%であり、後者は3位の57・8%だ。信じられない高視聴率を達成したイ・ビョンフン監督の名声はとどまるところを知らなかった。
そんな巨匠が次にどんな時代劇を作るのか。
関心は大いに高まった。その中で2007年9月17日からMBCで放送が始まったのが『イ・サン』だった。
22代王・正祖(チョンジョ)を主人公にしたこのドラマでは、主演のイ・ソジンが苦難を克服して名君に成長していく主人公イ・サンを強く温かく演じて人気を博した。何よりも、視聴者もイ・サンの成長を実感できるような演出スタイルであったことが見事だった。さすが名監督の演出力は巧みだ。
さらに、イ・ビョンフン監督は『イ・サン』の次に『トンイ』を作った。主演はハン・ヒョジュ。彼女はすでにメガヒットしていた『華麗なる遺産』で主役を演じていたが、時代劇の大作の主演は荷が重いと思われた。しかし、イ・ビョンフン監督はハン・ヒョジュの明るくハツラツとしたイメージが主人公のトンイにピッタリだと見抜き、まだ23歳だった彼女を主役に抜擢した。
2010年3月22日からMBCで放送が始まった『トンイ』のキャスティングは大成功だった。トンイに扮したハン・ヒョジュは、次々に襲い掛かってくる困難を明るいキャラで乗り越え、ドラマを大いに盛り上げた。
『ホジュン 宮廷医官の道』『宮廷女官 チャングムの誓い』から『イ・サン』『トンイ』へ。イ・ビョンフン監督が作った時代劇がこの「韓ドラ時代劇25年史」の中心で語られるのも、それだけの実績を挙げているので必然的なことだった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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