BS朝日で月曜日から金曜日まで朝8時30分から放送されている韓国ドラマの『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん』。
見ているとよくわかるが、前半は暗くて重いシーンがかなり多かった。それは、IU(アイユー)が演じているジアンの置かれている状況を説明するために必須の場面だった。
【関連】隠れた名作『マイ・ディア・ミスター』が「まれにみる傑作」と言われる理由
しかし、このドラマも後半に入ると、雰囲気がガラリと変わる。
常に不機嫌な表情だったジアンも少しずつ雰囲気が和らぐし、イ・ソンギュンが演じているドンフンも、生きる希望を失いかけていたが、ジアンと出会って心に張り合いが出てくる。
そういう意味では、落ち込む一方だった序盤とまったく変わって、ドラマの後半はジアンとドンフンが明確な希望を見いだせるようになってくるのだ。
それにつれて、2人の周囲にいる人たちがどんどん賑やかになっていく。
なんといっても、三兄弟の掛け合いが楽しい。ドンフンの兄のサンフン(パク・ホサン)と弟のギフン(ソン・セビョク)。彼らの人間味あふれるキャラクターがドラマを明るくしてくれる。
そして、三兄弟やジアンが住んでいる後渓(フゲ)という町がとてもいい(一応、後渓は架空の地名になっている)。住む人たちに人情があって、町内が安らぎに包まれる感じがする。
オ・ナラが扮しているジョンヒが営む酒場がたまり場になっていて、仲間たちが夜ごとに集ってくる。
誰の表情にも温かさがある。
「生まれ変わったら後渓に住みたい」
見ていて、そんな気がするほどドラマの中の後渓はパラダイスだ。
もちろん、ドンフンが勤める建築会社の社内抗争が激化する一方で、その内紛にドンフンとジアンも巻き込まれていくのだが、そのギスギスした場面から後渓に切り替わると、愛すべきディープな人間関係が延々と描かれていく。
社内抗争と町の人情。正反対の場面が繰り返しチェンジし、『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん』は緊張と安らぎが交差しながら、ドラマが前向きな展開にどんどん変わっていくのである。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
■【関連】途中放棄するべからず!!『マイ・ディア・ミスター』の世界にハマってしまう理由
前へ
次へ