テレビ東京で放送中の時代劇『トンイ』は、ついに仁顕(イニョン)王后(演者パク・ハソン)が王妃から引きずり降ろされる展開となってしまった。粛宗(スクチョン/演者チ・ジニ)も冷たい決断を下したのである。
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こういう状況を『朝鮮王朝実録』はどのように記していたか。史実の記録を再現してみよう。
1689年4月21日のことだった。静まり返った宮中で、粛宗は高官たちを前にして鋭い声を張り上げた。
「王妃は妬みが強すぎるのだ。張禧嬪(チャン・ヒビン)が側室になったときから、その嫉妬は燃え広がり、余は閉口するばかりであった」
沈黙の高官たちは、ひたすら王の言葉を聞いていた。そんな空気の中で、粛宗は感情を隠しきれず、さらに言葉を重ねた。
「婦人の妬みは昔からあるものだ。しかし、どうして王妃は恐ろしい言葉を平気で吐くのか。古今を通しても、ここまで妬む者はそう多くはないであろう」
王の言葉を聞いていた高官が思い切って口を開いた。
「たとえ問題があったとしても、公にされなければよろしいことでございます。あえて厳しくお話しになる必要がありましょうか」
この直言に、粛宗は自らの非を突かれたと感じ、かえって頑固になった。
「王妃は王子(母は張禧嬪)が生まれても喜ばなかった。それどころか、“本当に意外なことですね”と冷たく言ったのだ」
その声は次第に激しさを増し、仁顕王后への糾弾は荒波のように強くなった。高官たちは必死に王の心を鎮めようと説得を試みたが、粛宗の胸に渦巻く感情は収まる気配を見せなかった。
「嫉妬するばかりでなく、王妃は余を欺こうとした。これ以上どうすればいいというのか」
こう言い切って、ついに粛宗は決断を下した。仁顕王后の廃妃である。多くの反対の声が沸き起こったが、王はそのすべてを押し切り、強引に決定を実行した。
こうして仁顕王后は法的にも王妃から庶民に格下げとなり、ついに実家へと帰されたのである。空いた王妃の座を、張禧嬪が虎視眈々と狙う姿は、宮廷に新たな嵐の予兆を漂わせていた。
文=大地 康
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