テレビ東京の韓流プレミアで放送されている『イ・サン』では、7月19日の第46話でソン・ヒョナが演じる和緩(ファワン)が大ピンチに陥った。彼女は処罰から逃げるために清国への逃亡をはかったが失敗してしまったのだ。
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結局、観念せざるを得なくなった和緩。歴史上ではどんな処罰が待っていたのか。史実から見てみよう。
和緩は、イ・サンの祖父である英祖(ヨンジョ)の娘で、さらにはイ・サンの父である思悼世子(サドセジャ)の妹であった。その血縁にも関わらず、和緩と兄は著しく不仲で、彼女は思悼世子が米びつの中で餓死するという惨劇の中で、兄の良くない品行を英祖に告げ口するという卑劣な行為を働いた。
ドラマ『イ・サン』でも、和緩は餓死事件の首謀者の一人として名指しされ、その役をソン・ヒョナが巧妙に演じていた。史実でも彼女は、思悼世子を慕うイ・サンにとっては、絶対に許せない叔母であった。
和緩が宮殿で優雅に過ごすことが許されていたのは、父である英祖から無償の愛情を受けていたからに他ならない。しかし、その事情はやがて大きく変わってしまった。高齢の英祖が亡くなり、若きイ・サンが即位し、父を死に追いやった者たちに対して徹底的な報復を行うようになった。その報復の波は、無数の人々を死罪に追い込み、その中には和緩の名もあった。
彼女は実の兄を死に追いやった一人であり、厳しい処罰を高官たちは求めていた。だがイ・サンは葛藤し、英祖の喪が明けるまで和緩への処置を保留した。そして、喪が明けると、イ・サンは苦渋の決断を下し、「流罪にせよ」と命じた。このように死罪にしなかったのだ。
結局、イ・サンは和緩の命までは奪わず、その後は寛大さも見せ、和緩を都に戻した。そればかりではなく、最終的には罪を許した。こうして、和緩は名誉を回復することが許されたのである。
どんなに憎くても、イ・サンにとって和緩は正真正銘の叔母だ。イ・サンもその点を考慮して、できるかぎりの温情を見せたのである。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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