『イ・サン』によく出てくる義禁府と捕盗庁はどう違うのか

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時代劇『イ・サン』というドラマは、イ・ソジンが演じるイ・サンの即位を阻むために、対立する老論派の官僚たちが次々に陰謀をめぐらせている。その度に、イ・サンは窮地に陥るのだが、卓越した判断力で危機を回避していく。その展開が痛快なほどに面白い。

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そんな中で、『イ・サン』によく出てくる役所が義禁府(ウィグムブ)である。ここは、王命に従って罪人を徹底的に取り調べていくところだ。特に国家を揺るがすような反逆罪を取り締まるのが、義禁府の一番の目的であった。そのためには過酷な拷問も行なっていた。

実際、『イ・サン』でも容疑者が拷問を受けるシーンが何度も出ており、口を割らせるためには何でもやるのが義禁府という役所だった。

一方、捕盗庁(ポドチョン)も韓国時代劇をよく見る人には本当におなじみの存在だ。実際、何か犯罪が起きると容疑者が捕まるのだが、その容疑者が連れて行かれるのが間違いなく捕盗庁なのだ。

捜査を担当する地域は漢陽(ハニャン/現在のソウル)と京畿道(キョンギド/首都圏)である。要するに、治安を守る上で一番大事な地域を守っていたのだ。

画像=MBC

国家の重要な責務

この捕盗庁の厳密に言うと、「右」と「左」に分かれていた。つまり、右捕盗庁と左捕盗庁の二つがあったのである。それぞれに、大将(品階は従二品)が1人配置され、従事官(品階は従五品)が3人そろっていた。

なお、捜査や検挙を担当していた現場の職員は捕盗軍士(ポドグンサ)と呼ばれていた。彼らは腰に赤色の太い縄を付けていたので、とても目立っていた。その縄は飾りではない。罪人を捕まえたときにしばりあげる大事な道具であった。とはいえ、その縄こそが捕盗庁の捜査員であることを示す象徴となっていた。

捕盗庁は重要な役割を果たしていたが、1894年に廃止されて、その後には警務庁という官庁が設立された。

いずれにしても、犯罪を防いで治安を守るのは国家の重要な責務である。それは現代も朝鮮王朝時代もまったく変わらない。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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