『哲仁王后』の豆知識⑨王を補佐する高官たちは「文高武低」だった!?

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『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』を見ていると、王宮で国王を補佐する様々な高官たちが出てくる。この場合の高官というのは、ほとんどが文官だ。彼らは、儒教の教義を究めて科挙に合格して政治と行政に習熟していく。その末に出世して高官となると、国王を頂点とする朝鮮王朝の統治体制の担い手になるのだ。

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韓国時代劇には国王と高官が公式的な会議をよく開いているが、出席している高官は文官ばかりだ。武官は出世しても、現場でリーダーシップを発揮するだけであり、朝鮮王朝の中枢的な立場には立てない。

「文官の地位が高く武官は低い」という意味で、「文高武低」がまかりとおっていたのだ。徳川幕府のように「武士による統治」とは真逆だったのが朝鮮王朝だったと言える。

そういう官僚組織を把握しておくと、『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』に登場する武官の立場もおよそわかってくる。このドラマで典型的な武官といえば、ユ・ミンギュが演じる永平君(ヨンピョングン)とイ・ジェウォンが扮するホン別監(ピョルガム)だ。

永平君は実在の人物で、哲宗(チョルジョン)の異母兄である。彼は都の警護を担当する禁衛(クミ)の大将をまかせられている。大将と言ってもトップではない。ナンバー3くらいに該当すると言えばわかりやすいかもしれない。

永平君(写真左)とホン別監は頼もしい存在だった(写真=© STUDIO DRAGON CORPORATION)

国内統治の最前線を担う存在

一方、ホン別監が任ぜられている別監というのは、「なんでもこなす役割を担った下級役人」である。彼はドラマの中で国王に意見するほどの立場になっているが、それは哲宗と幼なじみであったからそこまでできるわけであり、本来なら国王に会うこともできない立場であった。

このように、朝鮮王朝の官僚組織というのは、国王の親戚や友人であっても、武官は常に文官の下に置かれて品階も低く抑えられてしまった。

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© STUDIO DRAGON CORPORATION

それでも、もし反乱が起きれば真っ先に鎮圧に向かって世の中を安定させるのが武官であり、彼らがいなければ国内の秩序はとうてい保てなかった。

文官の下位といっても、武官は実質的に国内統治の最前線を担う頼もしい存在であった。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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