韓国女性たちのリアルが分かる!「女性の生き方」を綴ったおすすめ韓国エッセイ5選

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自分の人生に迷ったとき、誰かの言葉や選択に背中を押されたくなったときに読みたくなるのがエッセイ。個人的に韓国エッセイは、ストレートな表現でスッと自分の中に入る言葉で紡がれたものが多いと感じている。

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「ありのままでいい」「無理せずに生きていい」など、心の健康や自己理解に関するものが人気を集めているが、今回は少し違う側面からアプローチして、「女性の生き方」に関連するものを中心に紹介してみたいと思う。

◆『女ふたり、暮らしています。』(キム・ハナ / ファン・ソヌ著、清水知佐子訳、CEメディアハウス)

二人の女性が共に暮らしながら経験する、日常や社会の中でのさまざまな課題、特に女性としての生き方や関係性、ジェンダーの問題などを率直に語ったエッセイ。

女性同士の共同生活を通じて見えてくる心の動きや葛藤、家族のあり方に対する考え方の変化、社会の固定観念やジェンダー規範に対する疑問や抵抗、自分らしく生きることの難しさと喜びなどが親しみやすい文体で書かれている。女性の新しい生き方や、多様な家族の形を考える読者から支持されている。

私自身もこのエッセイを読んで「こんな生き方もあるんだ」と初めて気づかされた。誰かと一緒に生きていくには、結婚しかないと思っていた20代後半の自分に新しい選択肢を提示してくれた大切な作品である。

◆『話すことを話す きちんと声を上げるために』 キム・ハナ著、清水知佐子訳、CEメディアハウス

エッセイストであり、ポッドキャストパーソナリティでもあるキム・ハナさんが、自らの「語ること」にまつわる経験や思考を綴ったエッセイ。

話すことに対する感情や経験を丁寧に言語化しているのが特徴。自分の声を持つこと、声を上げることの勇気と価値を実感させてくれるような文章が書かれている。

「大勢の人の前で話すのが苦手」「自分が話していることが、果たして正解なのかいつも不安」。これらは筆者自身の悩みでもある。いまだに克服できているとは言えないが、このエッセイを読んだことで心の持ちようが変わったのは確かだ。同じような悩みを持っている人には、ぜひおすすめしたい一冊。

◆『天文学者は星を観ない』 シム・チェギョン著、オ・ヨンア訳、亜紀書房

天文学者が語る、宇宙・仕事・子育てのリアル。好奇心を武器に日常と向き合うすべての人に贈る、希望とエールに満ちた一冊。

天文学や宇宙というとなんだか壮大で小難しいことばかりで、とっつきにくいもののようにも感じるが、このエッセイでは宇宙研究の現場や最先端の科学トピックをやさしく解説。それに加えて、働く母・女性としての葛藤をユーモラスに描き、韓国の幅広い読者に共感を与えている。

翻訳に片足を突っ込んでいる者として気になったのは、宇宙に関する単語を韓国語から日本語へどのように訳していったのか。もちろん、そのまま日本語の単語にあてはめて正しい意味になるものもあったかと思うが、そうはいかない単語たちも多分にあっただろう。決して身近とはいえない分野の翻訳が非常に大変だったことは想像に難くない。

◆『私の「結婚」について勝手に語らないでください。』 クァク・ミンジ著、清水 知佐子訳、亜紀書房

累計視聴回数2000万回超の、韓国で人気のポッドキャスト『ビホンセ』の制作・進行を務める著者の「非婚」に関するエッセイ。非婚は結婚の反対ではなく、多様な生き方のひとつ。それも自分が選択できること。結婚、非婚、事実婚、同性婚、どんな形の人生も尊重されるべきということが綴られている。

著者は、結婚にまつわる偏見や固定観念に疑問を投げかけて、特に女性が結婚を「当然のもの」として押し付けられる現状に鋭く切り込む。自分の人生を主体的に選択し、結婚にとらわれない自由な生き方を模索する姿が率直に描かれている。非婚と決めた人も、そうでない人も今自分が選び、進んでいる人生でいいんだと背中を押してくれる一冊だと思う。

◆『あたしだけ何も起こらない "その年"になったあなたに捧げる日常共感書』 ハン・ソルヒ著、オ・ジヘ絵、藤田麗子訳、キネマ旬報社

独身アラフォーの人気脚本家、ハン・ソルヒさんが綴る日常イラストエッセイ。結婚やキャリア、身体の変化、人生の焦りや不安など、特に30代~40代の女性が直面する「年齢」をめぐるリアルな感情や経験に寄り添った内容だ。

両親からの結婚へのプレッシャーがなくなった後になぜか感じてしまう焦り、記憶力の衰え、見た目の変化など、等身大の心情を軽妙な文章で表現。「自分だけ何も起こらないのではない」「人生のスタートが遅いだけ」という励ましが心にくる。クスっと笑えて、だけど切実な思いが節々に散りばめられたエッセイだ。

ひとくちに「韓国エッセイ」といってもさまざま。最近では人文系のエッセイなどの刊行も増えているように思う。

自分が今、どのようなものを求めているのか。励まされたいのか、共感できることが書いてあるものが読みたいのか。それぞれの嗜好にあう韓国エッセイをぜひ探してみてほしい。

(文=豊田 祥子)

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