朝鮮王朝の21代目の君主は英祖(ヨンジョ)である。彼は27人の国王の中で、最も長い時間を生き抜いた存在として知られている。1724年、華やかな30歳のときに即位した彼は、時代の烈しさに巻き込まれる派閥闘争の毒気を熟知していた。その弊害をなくすために生まれたのが蕩平策(タンピョンチェク)という公正な人事政策だ。
英祖は純粋な能力主義を貫こうと努力した。時代の風に逆らう決断であったが、彼はその道を果敢に進む国王であった。英祖の手腕のおかげで、荒れ狂う「党争」の炎は一時的に鎮められた。その結果、英祖の王権は堅固となった。以後、彼は国防を強化し、厳しい刑罰を禁じ、税を軽くし、庶子を官職に取り立てるなどの政策を成功させた。
しかしながら、時間の流れの中で、彼も変遷の時期を迎える。それは1762年の世子餓死事件が最も顕著な例となった。英祖は息子・思悼世子(サドセジャ)の行動に疑問を抱き、彼を米びつに閉じ込めて命を奪ってしまった。この悲劇は、ドラマや映画の舞台としてもしばしば取り上げられる。
その代表例が、時代劇『イ・サン』であり、その舞台に立ったイ・スンジェは韓国芸能界の巨星であった。彼の演技は、英祖の歴代最長在位52年に見合う重みがあった。
さらに、韓国の名優ハン・ソッキュも50歳のときに『秘密の扉』で英祖を演じた。このように、英祖の役は様々な年齢の俳優によって表現されているが、それは長い時間を生き抜いた国王であるからだ。
チョン・イルは『ヘチ 王座への道』で若き日の英祖に扮している。このドラマでは王子時代から即位直後までの英祖をチョン・イルが若々しく演じていた。
そんなチョン・イルよりもっと年下の俳優が英祖に扮したのが、2016年に制作された『テバク~運命の瞬間~』だ。18歳のヨ・ジングが英祖の役に挑んだのだが、本当に若々しかった。それでも、ヨ・ジングは年配の名優たちに負けることなく立派に英祖の役を堂々と演じて、好評を博した。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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