テレビ東京の韓流プレミアで放送されている『イ・サン』では、7月17日の第44話において英祖(ヨンジョ)が息を引き取った。それは、前半のクライマックスとなる重要な出来事であった。
英祖といえば、史実でも在位52年に及んだ長寿の国王だ。成し遂げた業績も多く、政権においては人材の登用を積極的に行ない、民政においても庶民の生活向上に尽くした。そのあたりは、『イ・サン』でも克明に描かれていた。
そうした名君の素顔を見せる一方で、痛恨の出来事になったのが息子の思悼世子(サドセジャ)を米びつに閉じ込めて餓死させた事件だ。老論派の陰謀があったとはいえ、偏屈で短気だった英祖にも非があった。
『イ・サン』においては、晩年に英祖が自らの落ち度に気づいて息子に心からの哀悼を捧げる様子も描かれていた。確執があった親子の和解が成立するような場面もあり、ドラマを見ていた人たちも安堵する展開だった。
そんな英祖を演じたのはイ・スンジェである。彼は韓国芸能界でも最上位に位置する重鎮俳優で、多くの後輩たちから尊敬を集めている。『イ・サン』でも、「英祖を演じる上で最高の俳優だった」という評価を受けており、年老いた国王の苦悩を的確に表現していく演技力はさすがであった。
ベテラン俳優として多くのキャリアを積んできたイ・スンジェの演技は本当に見応えがある。そんな彼の出演作で、今回は『これが人生!ケ・セラ・セラ』『カネの花~愛を閉ざした男』を紹介しよう。
『これが人生!ケ・セラ・セラ』は、キム・ヘスクがユ家三男の妻で元看護士のハン・ヘギョンを演じ、ホン・ヨソプはヘギョンの夫でユ内科院長のユ・ジェホを演じている。このドラマで、イ・スンジェはジェホの父親ユ・ジョンチョル役で出演している。
『カネの花~愛を閉ざした男』は、チャン・ヒョクがチョンア経営企画室常務のカン・ピルジュ、パク・セヨンが環境保護活動家のナ・モヒョン、チャン・スンジョがチョンアグループ御曹司のチャン・ブチョンを演じているドラマだ。本作で、イ・スンジェはブチョンの祖父でチョンアグループ名誉会長のチャン・グクファンを演じていた。
時代劇でも現代劇でもすばらしい演技を披露しているイ・スンジェ。彼はこれからも自分にしかできない演技でファンを楽しませてくれるだろう。
文=大地 康
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