NHK総合テレビの日曜日午後11時に放送されている『ヘチ 王座への道』は、3月21日に第6話を迎えた。すでに景宗(キョンジョン)が即位していたが、彼には子供がいないので、後継者争いが問題となっていた。
本来なら、主役のチョン・イルが演じている延礽君(ヨニングン)が後継者の筆頭であるべきだが、彼は「母親の出自があまりに低すぎる」という理由で、正当な権利を主張できなかった。
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反対に、密豊君(ミルプングン)という最悪の王子が暗躍して世子の資格を得ようとしていた。なんとも理不尽なことだ。
しかし、延礽君は厳しい状況から自らの信念に従って行動して、王族の務めを果たそうとしていた。
一番の目的は、何が何でも密豊君の動きを阻止することだった。
そのためには、延礽君は意見が合わない高官とも手を組んだ。彼としては苦渋の決断だったが、王朝の未来のためにも戦略的に正道を行なう必要があった。
このあたりの延礽君は本当にしたたかだ。しかも、演じるチョン・イルの演技には「堂々たる王子のふるまいだ」と思わせる説得力があった。
さらに、延礽君は一緒に動いてくれる仲間をとても大事にした。たとえ目的を遂行できるときでも、仲間に犠牲を強いるときは、その手段を採用しなかった。あくまでも、仲間の命を一番大事にしたのである。
そういう延礽君だから、仲間も喜んで彼に従っていったのである。そこにあったのは、厚き信頼だ。朝鮮王朝時代は儒教的な信義をとても重んじたが、『ヘチ 王座への道』でもその精神がよく描かれていて、見ていても喝采を送りたいほどであった。
その一方で、密豊君の暗躍があまりにもひどい。それだけに、延礽君の活躍に大いに期待したいところだが、彼の周りには難題があまりにも多い。
そうした困難を乗り越えて、延礽君はどんな形で狡猾な密豊君に対抗しようとしているのか。今後の展開から目が離せない。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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