朝鮮王朝の21代王の英祖（ヨンジョ）は、数多くの時代劇で有名な俳優が演じている。最近では、人気俳優のチョン・イルが『ヘチ 王座への道』で若き日の英祖を演じて、評判がとても良かった。
その英祖は82歳まで生きて、朝鮮王朝の27人の王の中で一番長寿だった。そんな丈夫な身体に産んでくれたのが、母の淑嬪・崔氏（スクピン・チェシ）である。彼女はドラマ『トンイ』の主人公になった女性であり、1718年に亡くなっている。
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そして、英祖の父の粛宗（スクチョン）は1720年に世を去った。それにともなって、張禧嬪（チャン・ヒビン）が産んだ息子が20代王・景宗（キョンジョン）として即位した。この景宗には子供がいなかった。そうなると、もしも景宗が亡くなれば、異母弟の英祖が即位する。それだけに、英祖も少なからず野望を持った。実際、景宗は即位して4年で亡くなり、英祖が王位を継いでいる。
このとき、王宮の中で大きな騒動が起こった。「英祖が兄を毒殺したのではないか」という疑惑が大きくなったのだ。英祖は悪い噂を必死に打ち消すが、反乱が起きてしまう。そのときの告発書の内容が過激だった。なんと、「英祖は粛宗の子供ではない」という内容だった。
なぜ、そんな告発状が出たのか。
実は、英祖は粛宗にまったく似ていなかった。「顔相」という顔の相を見る専門家が見ても英祖と粛宗の顔には共通点がなかった。そこまで言われてしまったのだ。英祖は反乱を鎮圧して告発状の内容を打ち消すのだが、疑惑はかなり残った。
英祖は、淑嬪・崔氏の身分が低かったことに劣等感を感じていた。また、英祖が粛宗の正室から生まれた子ではないし、母親の出自に不明な点が多かった。
それなのに、粛宗の子供ではないという告発で反乱まで起きてしまった。英祖は疑惑を持たれたことを深刻に悩んでいたという。
真相は定かでないが、英祖の性格が偏屈だったのも、様々な疑惑が影響していたからかもしれない。
文＝康 熙奉(カン・ヒボン)
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