朝鮮王朝三大悪女の1人と言われる鄭蘭貞（チョン・ナンジョン）といえば、時代劇『女人天下』で大女優のカン・スヨンが演じたことで有名だった。また、『オクニョ 運命の女(ひと)』ではパク・チュミが鄭蘭貞に扮していた。どちらのドラマでも、彼女は個性的なキャラを存分に見せていた。史実ではどのような存在だったのだろうか。
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若いころに鄭蘭貞は、貧しい家に見切りをつけて奴生(キセン)になった。彼女の優れた容姿は尹元衡(ユン・ウォニョン)の目に留まり、彼の妾となった。この尹元衝という男は、11代王・中宗(チュンジョン)の三番目の正室・文定(ムンジョン)王后の実弟である。
尹元衡にはすでに正妻がいた。しかし、この正妻は鄭蘭貞の策略により家を追い出された後に毒殺された。その末に、鄭蘭貞は尹元衡の後妻になった。
文定王后の後ろ盾を得た彼女は、その弟である尹元衡を懸命に支えた。その結果、尹元衡は着々と出世していき、妻である鄭蘭貞の立場も強まっていった。
しかし、当時の情勢では奴婢出身の彼女が、仮にも王族の一員である尹元衡の正妻になることは難しかった。すると、文定王后と結託して法律すら変えてしまった。
鄭蘭貞の行き過ぎた行為は、「王妃に取り入った妖女」「儒教的な身分制度を覆す毒婦」と言われた。世間になんと言われても、鄭蘭貞は文定王后の手先として「汚れ役」を一手に引き受けた。それによって、彼女自身も様々な役得を得た。庶民は悪政で苦しめられたが、鄭蘭貞は「我が世の春」を謳歌した。
1565年、文定王后が世を去った。とたんに、鄭蘭貞は苦境に陥った。王宮の中で鄭蘭貞と尹元衡は大変な恨みを買っていたので、復讐される運命となっていた。恐くなった2人は王宮からあわてて逃げて行き、地方でこっそり暮らしていた。
しかし、追われる身として絶望し、鄭蘭貞はついに自ら命を絶った。彼女が死ぬと、夫の尹元衡も悲観して自決している。本当に哀れな夫婦であった。
【鄭蘭貞の人物データ】
生没年
?～1565年
主な登場作品（）内は演じている俳優
『女人天下』（カン・スヨン）
『オクニョ 運命の女（ひと）』（パク・チュミ）
文＝康 熙奉（カン・ヒボン）
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