テレビ東京の韓流プレミアで放送されている『赤い袖先』では、9月28日に第20話がオンエアされた。イ・ジュノが演じるイ・サンは国王になって後継ぎ問題がクローズアップされてきた。周囲の王族女性たちもイ・サンがいまだ息子を授かっていないことで大いに心配していた。
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イ・サンはイ・セヨンが扮するソン・ドギムを深く愛しているのだが、肝心のソン・ドギムが側室になることを拒んでいた。そんな状況の中で、結局イ・サンはホン・ドンノ(カン・フンが演じている)の妹を側室に迎えた。それが元嬪(ウォンビン)である。パク・ソギョンが扮している。
史実を見てみると、元嬪は1766年に生まれている。彼女は洪(ホン)氏一族で、家柄がとても良かった。なにしろ、14代王・宣祖(ソンジョ)の娘として著名だった貞明(チョンミョン)公主(コンジュ)の夫の直系子孫なのだ。
しかも、イ・サンの母親・恵慶宮(ヘギョングン)とも親戚関係にあった。それゆえ、恵慶宮は元嬪のことを特別に可愛がり、イ・サンの子供を宿すことをとても期待していた。とはいえ、元嬪がイ・サンの側室になったのは12歳のときだった。まだ成長途上であったと言っていい。
しかも、元嬪はからだが丈夫でなかったうえに精神的にも弱かった。結局、経験不足のまま王宮に入ってきて慣れない環境で消耗してしまい、1779年に亡くなった。この時点で元嬪はまだ満年齢13歳にもなっていなかった。側室になるのがあまりに早すぎたのだ。
ホン・ドンノ(本名は洪国栄〔ホン・グギョン〕)は妹の死という現実に直面して慟哭(どうこく)し、以後の彼は性格が変わってしまった。
同様に、せっかく迎えた側室を失ってイ・サンも胸を痛めた。彼がソン・ドギムを寵愛しているという現実はまったく変わらなかったが、世継ぎを期待されて王宮に入ってきた元嬪の早すぎる死は、若き国王にも大きな衝撃であった。この出来事を契機にイ・サンとホン・ドンノの関係にも暗雲が立ち込めてきた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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