韓国ドラマの中でも特に人気が高い時代劇ジャンル。オールタイムで選べば『宮廷女官 チャングムの誓い』『イ・サン』『トンイ』といった人気作が選ばれるかもしれないが、今回は過去10年(2014年～2023年)に限定してみた。もちろん、韓国ドラマは常に進化しているので、過去10年でもオールタイムに負けない傑作が選ばれた。ランキング形式でピックアップしてみよう。
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●ランキング5位／『風と雲と雨』
(2020年／TV CHOSUN／全21話)
出演者(役名)／パク・シフ(チェ・チョンジュン)、コ・ソンヒ(イ・ボンリョン)、チョン・グァンリョル(イ・ハウン)、ソンヒョク(チェ・インギュ)
かつて『王女の男』で朝鮮王朝のヒーローとなったパク・シフが9年ぶりに時代劇に主演したのが『風と雲と雨』だ。彼が人間の運命を四柱推命で天才的に占うチェ・チョンジュンに扮して、1860年代の王位継承問題に果敢に挑んでいく。当時の政治を牛耳る一族との対決が迫力満点だった。
また、チョン・グァンリョルが扮する興宣大院君(フンソンデウォングン)が曲者として描かれていて、ドラマは史実を巧みに取り入れていた。本当に完成度が高い時代劇であった。
●ランキング4位／『100日の郎君様』
(2018年／tvN／全16話)
出演者(役名)／ド・ギョンス(イ・ユル＝ウォンドゥク)、ナム・ジヒョン(ユン・イソ＝ホンシム)、ハン・ソヒ(キム・ソヘ)、キム・ソンホ(チョン・ジェユン)
物語の設定は架空だが、主演のド・ギョンスが記憶喪失になった農民と痛快な世子を巧みに演じ分けて本当に面白かった。主人公イ・ユルは悪徳高官に命を狙われてしまい、結果的に記憶喪失になってウォンドゥクという農民に生まれ変わる。結婚したのがナム・ジヒョンの扮するホンシムで、この夫婦の掛け合いが最高に楽しかった。
後半はイ・ユルが記憶を取り戻して王宮に復帰。悪徳高官と壮絶な闘いを繰り広げていくが、ド・ギョンスが緊迫感のある演技を見せてドラマを大いに盛り上げていた。
●ランキング3位／『雲が描いた月明り』
(2016年／KBS／全18話)
出演者(役名)／パク・ボゴム(イ・ヨン)、キム・ユジョン(ホン・ラオン)、ジニョン(キム・ユンソク)、クァク・ドンヨン(キム・ビョンヨン)
パク・ボゴムが演じた世子は典型的なツンデレで、厳しい顔が多かったのだが、キム・ユジョンが演じたヒロインとのロマンスでは一転して素敵なスマイルに変わる……その変化にグッと引き込まれた。世子のモデルは天才と称された孝明(ヒョミョン)世子。歴史的にも有名なイケメンだったのでパク・ボゴムの役はピッタリだった。
ドラマはラブコメ要素が強かったが、史実も重厚に描いていて見応えがあった。キャスティング、ストーリー、映像と三拍子そろった痛快時代劇だ。
●ランキング2位／『王になった男』
(2019年／tvN／全16話)
出演者(役名)＝ヨ・ジング(ハソン／イ・ホン)、イ・セヨン(ユ・ソウン)、キム・サンギョン(イ・ギュ)、クォン・ヘヒョ(シン・チス)
ヨ・ジングの怪物級の演技力を堪能できる作品。彼は国王と道化師の1人2役に扮したが、感情がこもった表現力には本当に感心させられた。また、悲しい王妃に扮したイ・セヨンの繊細な感情表現にも泣かされた。
こうして演技派の2人を中心に展開された物語は、道化師が国王に成り代わるという意外な設定で見せ場が多かった。さらに、悪徳高官との対決でどんどんスケールが大きくなっていった。誰が見ても「凄い時代劇だ」と感動するに違いない。
●ランキング1位／『赤い袖先』
(2021～2022年／MBC／全17話)
出演者(役名)＝イ・ジュノ(イ・サン)、イ・セヨン(ソン・ドギム)、イ・ドクファ(英祖)、カン・フン(ホン・ドンノ)
過去10年の韓国時代劇を見渡したら、この『赤い袖先』が間違いなくナンバーワンだ。国王イ・サンと宮女ソン・ドギムの切ない恋物語を描いた王宮ロマンスが珠玉の出来ばえになっている。しかも、イ・ジュノとイ・セヨンの表現力が豊かな演技に感情をグッと揺さぶられる。
さらに、美的感覚があふれた映像が秀逸。抒情的な描き方も好感が持てる。明らかに、時代劇制作の進化を心から実感できるドラマであり、今後の時代劇にもきわめて大きな影響を与えた。
文＝康 熙奉（カン・ヒボン）
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