『イ・サン』において強烈な悪女として暗躍しているのがファワンだ。ソン・ヒョナが演じているが、ドラマでは本当に憎たらしい存在だった。
【関連】【『イ・サン』の恐るべき叔母】世孫の即位を邪魔する悪女とは誰なのか
彼女はイ・ソジンが演じている世孫(セソン)のイ・サンの邪魔ばかりしている。とても狡猾な存在なのである。史実ではどんな女性だったのだろうか。彼女の本当の姿を明らかにしてみよう。
『イ・サン』で悪女となっているファワンは、歴史的には和緩(ファワン)翁主(オンジュ)として知られる。翁主というのは、国王の側室が産んだ王女を指している。
実は、和緩翁主は英祖(ヨンジョ)の娘だ。この国王には娘が多かった。記録を見ると、彼には2人の正室がいたのだが、子供を産まなかった。その代わり、4人の側室が合計で2人の王子と7人の王女を産んでいた。
その7人の王女というのは、和順(ファスン)翁主、和平(ファビョン)翁主、和協(ファヒョプ)翁主、和緩翁主、和柔(ファユ)翁主、和寧(ファリョン)翁主、和吉(ファギル)翁主である。このように、和緩翁主は7人の姉妹の中で四番目であった。
英祖は娘をとても愛したが、特に和緩翁主に目をかけていた。このように和緩翁主は英祖に溺愛されたのだ。その分、わがままに育ってしまった。
そんな和緩翁主の母親は英祖の側室の映嬪・李氏(ヨンビン・イシ)である。そして、実兄が思悼世子(サドセジャ)だ。とはいえ、この兄妹はどういうわけか仲が悪かった。
思悼世子は1762年に英祖によって米びつに閉じ込められて餓死してしまうが、その際に兄の悪口を英祖に告げ口したのが和緩翁主だと言われている。このように、和緩翁主は思悼世子の死にも関係していたのだ。
そのとき、イ・サンは10歳だった。和緩翁主の悪行を決して忘れなかった。
1776年、イ・サンが22代王として即位した。すると、彼はすぐに和緩翁主を厳しく処罰し、王女としての身分を剥奪した。こうしてイ・サンは父の仇を討ったのである。
しかし、相手は血を分けた叔母である。イ・サンとしても、決して平常心ではいられなかったことであろう。
文=大地 康
■【関連】【本当は怖い⁉】名君イ・サンのゾッとするような「裏の顔」とは?
前へ
次へ