『七日の王妃』は、3人が主人公になっている。男性はイ・ドンゴンが演じる燕山君(ヨンサングン)とヨン・ウジンが扮する晋城大君(チンソンデグン)であり、女性はパク・ミニョンが演じるシン・チェギョンである。
【写真】『七日の王妃』でイ・ドンゴンが扮した燕山君は史実でどれほど恨まれたのか
この3人の立場が一変した大事件といえば、1506年9月1日に起こったクーデターだ。その首謀者たちは、朴元宗(パク・ウォンジョン)と成希顔(ソン・ヒアン)と柳順汀(ユ・スンジョン)である。いずれも燕山君に恨みを持つ官僚であり、特に燕山君によって姉が自害させられた朴元宗がクーデター派の急先鋒だった。
彼らが起こした大事件の当日の模様を史実のとおりに描写してみよう。
その運命の日、クーデターの主力部隊が勢いを増して王宮の正門や他の門の外に押しかけた。
王宮を守っていた護衛の兵士は政変が起こったことを知っていてもすぐに動かなかった。本来なら、攻めてきた反乱軍に反撃を加えなければいけないのに、実際にはそうしなかった。
むしろ、護衛の兵士の多くは、脱兎のごとく逃げ出したのである。からだを張って燕山君を守ろうとする者はほとんどいなかった。
しかも、内通者がいて反乱軍に協力する有様だった。それゆえ、反乱軍はたやすく王宮の中に侵入することができた。こうした事実を見ても、暴君となって残虐な殺戮(さつりく)を行なっていた燕山君は、部下からも完全に愛想をつかされていたのだ。
反乱軍がどんどん迫ってきたとき、果たして燕山君はどうしていたのか。なんと、王宮が侵入された事実を報告されたとき、伝えにきた者の手を握ってブルブル震えていたという。
その情けない光景を内心で嘲笑(ちょうしょう)していた側近たちは、「現在の状況を見てまいります」と言うと、そのまま逃亡してしまった。あまりに取り乱しすぎて便所に落ちてしまった者もいた、と『朝鮮王朝実録』は記している。
朴元宗は堂々と王宮の中枢部に入ってきて、震えていた燕山君に面会した。彼は、燕山君に対して国璽(こくじ)を差し出すように要求した。
国璽は国王であることを証明する印だ。それを燕山君はしぶしぶ差し出した。それは、燕山君がもはや国王でなくなったことを端的に見せる場面だった。
こうして暴君は国王の座から転落した。クーデターは反逆軍の完全な勝利で終わったのである。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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