2024年は「深刻な不況」と騒がれていた韓国ドラマ業界だが、それでも動画配信サービスによるオリジナルシリーズの制作は途切れることなく続いている。
なかでも注目すべきは、相変わらず圧倒的な支持を集めるNetflixと、近年、韓国ドラマの躍進が目覚ましいDisney+だ。ビジネスパーソンにとっても興味深いオリジナルシリーズが待ち受けている。
まず、Netflixでは2025年1月24日から配信中の『トラウマコード』と、『CASHERO(キャシャロ)』。
韓国では、大学医学部の入学定員を増員するという政府の計画(2024年2月1日に発表)に反発した研修医たちが、大規模な医療ストライキを起こしてから1年が過ぎようとしている。
その間、医療ストライキに対する国民の反感も高まり、「医師を美化しないで」という声が上がっていたため医療系ドラマの放送もオールストップしていた。
何本かの医療ドラマも制作がストップし状況をうかがっていたなか、初めて日の目を見ることになった医療ドラマが『トラウマコード』だ。
現役医師が執筆したウェブ小説を原作とし、主演は俳優チュ・ジフンが務める。戦地で活躍した経歴を持つ天才外科医が、赤字に苦しむ大学病院の「重症外傷チーム」を建て直していく姿を痛快に描く作品。
予告編からはコミカル要素が強いヒューマンドラマを感じさせるが、同作への世間の反応が今後の医療ドラマの制作を左右しそうだ。
また、人気ウェブ漫画を原作とした『CASHERO』は、マイホームの購入が夢である平凡な公務員が、ひょんなことで超能力を手にするという物語だ。
主人公の超能力は持ち合わせた現金の額と身体能力が比例するため、彼は安月給を叩いて人々を救う涙ぐましい影のヒーローになる。いかにもファンタジーだが、「お金=力」という現実的なアプローチで韓国の若者たちのリアルを描かれている。
Disney+からは、『トリガー ニュースの裏側』『ノックオフ』『パイン ならず者たち』『ハイパーナイフ 闇の天才外科医』などが配信を控えている。
2025年の韓国オリジナルシリーズの幕開けを飾る『トリガー ニュースの裏側』は、超型破りな調査報道チーム“トリガー”が凶悪事件の真相を大暴露し、事実で悪人たちをなぎ倒す痛快エンターテイメント。
カメラを武器にして闘う、報道ディレクターたちのハイパーリアルな世界が胸を熱くするだろう。
『ノックオフ』も興味深い。
1997年、韓国が国際通貨基金(IMF)に緊急融資を受けたことで勤めていた大企業からリストラされ、違法のブランドコピービジネスに手を染める男の話を描く。
大金に目がくらみ墜落していく主人公を演じるのは、2024年に『涙の女王』で世界中をときめかせた俳優キム・スヒョン。前作のムードから一変し、泥沼の犯罪劇を繰り広げる彼のワイルドな演技が、2000年代初頭を舞台に繰り広げられる。
『ミセン-未生-』の原作者ユン・テホによる同名のウェブ漫画のドラマ化『パイン ならず者たち』も注目したい。
1970年代の韓国を舞台にする同作は、韓国沖で貴重な財宝が発見されたことを機に、ならず者たちがその財宝をめぐり、激しい奪い合いを繰り広げるクライム・アクション。
すべての登場人物が俗物であり、世間一般的にいう悪党という、原作者ユン・テホならではの緻密なストーリーと個性的なキャラクターたちに圧倒されること間違いなしだ。
2025年も韓国発のストーリーは世界を魅了するのだろうか。ヒットの行方に注目していきたい。
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