NHK・BSプレミアムで毎週日曜日に放送されている『七日の王妃』も、いよいよ終盤を迎えてきて佳境に入っている。
【写真】『七日の王妃』の悪役イ・ドンゴンの愛すべき主演ドラマは超大ヒット作⁉
特に、イ・ドンゴンが扮している燕山君(ヨンサングン)が徐々に追い込まれていく様子が描かれている。ドラマの中で、燕山君は弟の晋城大君(チンソンデグン)に王座を奪われるのではないか、と疑心暗鬼になっており、ますます性格が粗暴になっていく。
史実でいえば、燕山君がひどい悪政を行なっていたのに、それを見過ごしていた官僚たちの責任が大きい。彼らは本来、高い地位にふさわしく政治を正し、国王といえども諫言する役目を負っていた。しかし、実際には自分が得た地位を守るために、むしろ庶民を困らせる悪政に加担した。それは、『七日の王妃』を見ていればよくわかることだ。
悪徳高官の筆頭は、ドラマにもよく出てくる任士洪(イム・サホン)だ。
この男は、自分が出世したいばかりに、燕山君の母親が廃妃・死罪になった真相を息子の燕山君に密告して、本来はありえなかった虐殺事件を引き起こしている。そのうえで、高い地位に留まって悪政の当事者となった。
同じように、責任を負わなければならないのは、パク・ミニョンが演じるシン・チェギョンの父親だった慎守勤(シン・スグン)だ。彼は妹が燕山君の妻になったことから大出世を果たし、政権ナンバー2の左議政(チャイジョン)まで成り上がっている。
『七日の王妃』では、政治を正すためには燕山君の廃位もやむをえないという態度であったが、史実ではむしろ悪政を継続させた張本人だった。
このように、高い役職にある高官たちが身体を張って悪政を食い止めていれば、燕山君も最悪な暴君のまま廃位にされることもなかった。
すべては結果論である。国王という最高の権力を持った燕山君が悪政に染まったことが一番悪いのだが、それに同調して地位に固執した高官たちも同罪であった。こうして、燕山君は後世の歴史で「最悪の暴君」として断罪されることになってしまった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
■【写真】『七日の王妃』でイ・ドンゴンは燕山君の憎悪をどう演じたのか
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