ラブコメは、韓国ドラマの中でも特に人気があるジャンルだ。それは、時代劇であっても変わらない。実際、古代・三国時代や高麗を舞台にした時代劇にはラブコメ系がほとんどないが、朝鮮王朝を舞台にしたドラマならラブコメ要素が強い作品がいくつもある。
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そんな場合でも、奇抜な設定を使いながら歴史的な要素もきちんと押さえている時代劇がある。その中で絶対にお勧めしたいのが、チャン・ドンユンとキム・ソヒョンが痛快に主役コンビを演じた『ノクドゥ伝~花に降る月明り~』だ。
確かに、このドラマの前半はラブコメであった。チャン・ドンユンが演じたノクドゥは、自分たちを襲ってきた刺客を追って、男子禁制の村に忍び込もうとする。その際には女性に扮する必要があったので、彼はあえて女装して身分を隠そうとした。その末に、ノクドゥは女性になりきって妓生(キーセン)の見習いのドンジュ(キム・ソヒョン)と同居する羽目になる。
こうなると、もうドタバタの世界だ。ノクドゥの女装がバレそうになる場面は腹を抱えて大笑いできる。
そんなふうにラブコメとして楽しんでいたら、ドラマの後半になるとガラリと展開が変わる。王宮での王位争いが深刻になっていき、その騒動にノクドゥとドンジュが巻き込まれていくのである。
実際、『ノクドゥ伝~花に降る月明り~』は15代王・光海君(クァンヘグン)の起こした歴史的事件をストーリーの中に巧みに入れて、本格史劇として重厚な権力争いを立て続けに描いていく。
この時点でもうラブコメの要素がなくなっている。そして、ノクドゥが「実は国王の息子だった」という設定が中心になり、彼が王宮の騒動の中で獅子奮迅の活躍を見せていくのだ。このあたりの展開は歴史を重厚に見せていてとても見応えがある。
まさに、『ノクドゥ伝~花に降る月明り~』は「前半のラブコメ、後半の本格歴史劇」という構成になり、1粒で二度おいしい時代劇となっている。それにしても、チャン・ドンユンのアクションは本当に見事であった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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