テレビ東京の韓流プレミアで放送された『ノクドゥ伝~花に降る月明り~』は、光海君(クァンヘグン)が綾陽君(ヌンヤングン)によって王座から引きずり降ろされて終わった。
その後の光海君の人生をたどってみよう。
彼が廃位になったのは1623年のことだった。代わって綾陽君が16代王・仁祖(インジョ)として即位した。
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王宮から追放された光海君は江華島(カンファド)に流罪となった。それでも仁祖によって命だけは保証された。
しかし、光海君をとことん恨んでいた人物が絶対に容赦しなかった。それは8歳で光海君に殺された永昌大君(ヨンチャンデグン)の実母だった仁穆(インモク)王妃である。
この永昌大君は光海君の異母弟で、『ノクドゥ伝~花に降る月明り~』でも幼い彼が殺される場面がしっかり描かれていた。
とにかく、仁穆王妃は執拗に光海君の斬首を主張した。ただし、仁祖はその言葉に従わなかった。先王を斬首すれば後世でどんなに評判が悪くなるかわからなかった。仁祖は歴史に汚名を残すことを恐れたのである。
しかし、仁穆王妃は諦めなかった。江華島で質素に暮らす光海君を殺すために刺客を送り、我が子を殺された恨みを晴らそうとした。けれど、暗殺は失敗に終わり、光海君はかろうじて命を守り抜いた。
やがて光海君は江華島から済州島(チェジュド)に移された。当時の済州島といえば、極悪人の流刑地となっていた。しかも、都から一番遠い孤島である。そんなところに島流しとなった光海君は、当初は嘆き続けたという。
それでも、彼は気を取り直して済州島で生き続けた。
亡くなったのは1641年で享年は66歳である。当時としては長寿を全うした。
『ノクドゥ伝~花に降る月明り~』でも、チョン・ジュノが演じた光海君は王位を守るために神経をすり減らしていた。その様子がドラマで何度も描かれていた。
そんな過酷な日々からようやく解放されて、済州島で暮らした光海君は意外に平穏な日々を取り戻したのかもしれない。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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