終盤に向けて『ノクドゥ伝~花に降る月明り~』がますます盛り上がっていく中で、珠玉の名場面があった。
それは、キム・ソヒョンが演じるヒロインのドンジュが、母親が亡くなるときのことを思い出す場面だ。
彼女は執拗に光海君(クァンヘグン)の命を狙っている。最愛の親を殺したからだ。
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しかし、目的を果たすことはできないでいた。そんな場面に遭遇したのが、チャン・ドンユンが演じるノクドゥの父親だった。それは、イ・スンジュンが演じているユンジョであった。
彼もこのドラマのキーパーソンの1人だ。そして、ドンジュと同じように光海君の命を狙い始めたノクドゥのことをとても心配していた。
そんなユンジョは、親の仇を取るためにドンジュが国王の命を狙っていることを知って、「それは絶対に違う」と彼女を諭す。なぜなら、たとえ親の仇を討ったとしても、それによって必ず我が子が殺されてしまうからだ。そんな形で我が子の死を望む親は絶対にいないとユンジョは力説する。
「親であれば絶対に我が子に生きていてほしいのだ」
このように語るユンジョの言葉には説得力があった。
実際、ドンジュが母の死ぬ場面を回想してみると、母は娘に「かならず生きて!」と言って死んでいった。つまり、母は復讐を望んではいなかったのだ。
それなのに、ドンジュはあくまでも親の仇を討つことに執着している。
とはいえ、ユンジョの忠告はドンジュの心に深く残った。
彼の言葉は決して無駄ではなかったのだ。それどころか、親の心からの心情を的確に伝えてくれていた。
そういう意味で、ドンジュがユンジョに出会ったことは本当に大きかった。
もちろん、ドンジュを諭したユンジョの言葉は、ノクドゥにも向けられていた。
ノクドゥもまた、家族やドンジュを守るために、自分が望まないことにも手を染めなければならなかった。
主要な登場人物たちが様々な葛藤を抱えて、いよいよ『ノクドゥ伝~花に降る月明り~』はクライマックスに向けて大きく動き出した。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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