ここまで前半と後半で流れが変わる時代劇も珍しい。とはいえ、終盤に向けて『ノクドゥ伝~花に降る月明り~』は本当に面白い時代劇になってきた。
物語の当初はラブコメの要素が強かった。チャン・ドンユンが演じるノクドゥは女装をして弱い女性のフリをしていた。自分の一家を襲った刺客を追いかけて男子禁制の寡婦村に入り込んだからだ。
そこで、妓生(キーセン)の見習いだったドンジュ(キム・ソヒョンが演じている)と同居することになり、2人の共同生活はドタバタの連続だった。
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そんな前半を見ていた人は「このドラマは面白いラブコメ!」と思ったことだろう。
しかし、後半に入ると、ラブコメの要素はまったくなくなった。むしろ、緊迫した場面の連続となり、ハラハラする局面が満載のシリアス時代劇となった。
ヤマ場を迎えて物語のツボも絞られてきた。それを整理してみよう。
・光海君(クァンヘグン)の息子であることが明らかになったノクドゥなのに、それでも国王の命を本当に狙うのか。
・光海君に命を狙われているドンジュは、果たして生き残ることができるのか。
・王位を狙っている綾陽君(ヌンヤングン)はどんな狡猾な手を使って自分の野望をかなえようとするのか。
こういうところが重要なツボになっているのだが、さらに大事なのは、ノクドゥとドンジュの愛の行方だ。
2人には、越えなければならない壁が高すぎた。なんといっても、ドンジュにとってノクドゥは、両親を殺した国王の息子なのである。そのことを綾陽君から告げられたドンジュの悩みは深くなる。
そんな辛い思いを抱えながら、ドンジュは粗末な両親の墓を見つけた。
あまりに悲しくて涙があふれる。
やはり、彼女は積年の恨みを晴らさなければならない。そうでなければ、無惨に殺された両親も浮かばれない。
それだけに、ドンジュの心はさらに複雑になる。
彼女の決断がドラマを大きく動かしていく。そのとき、ノクドゥはどのように対処するだろうか。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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