ドラマ『ノクドゥ伝~花に降る月明り~』でチョン・ジュノが光海君(クァンヘグン)を演じると聞いたとき、すくなからず驚いた。「若いイケメン俳優が主演するラブコメでキャラが強烈な歴史上の国王を大物俳優がどう演じるのか」がすぐにはイメージできなかったからだ。
それほど、チョン・ジュノの起用は異質だった。
しかし、さすが多様性のある本格派俳優である。チョン・ジュノは国王としての複雑な感情表現を見事に見せてくれている。
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なんといっても、チョン・ジュノといえば、『ホテリアー』『ラスト・スキャンダル』『IRIS-アイリス-』などの印象的な演技で、日本の韓流ファンには本当によく知られた俳優だ。また、時代劇でも『オクニョ 運命の女(ひと)』で尹元衡(ユン・ウォニョン)というクセが強い悪人を憎たらしく演じていた。
そんな彼が今度は『ノクドゥ伝~花に降る月明り~』で光海君を重厚に演じているのだ。ワクワクするほど興味深いのも当然だ。
それにしても、光海君は韓国時代劇に本当によく出てくる国王だ。
ここ数年を見ただけでも、『王の顔』でソ・イングクが若々しく演じ、『華政(ファジョン)』でチャ・スンウォンが苦悩の王を巧みに表現し、『王になった男』でヨ・ジングが1人2役に扮していた。もちろん、映画版の『王になった男』ではナンバーワン俳優のイ・ビョンホンが光海君を素晴らしい演技で演じきっていた。
このように、光海君というのは、現在の韓国時代劇で最も出番の多い国王なのである。そんな存在に今度はチョン・ジュノが『ノクドゥ伝~花に降る月明り~』で果敢に挑んでいる。
歴史的に見ると、光海君は1608年に即位して外交や税制改革などで卓越した能力を発揮したが、即位する過程で実兄や異母弟を殺害しており、それで恨みを買って1623年にクーデターで王宮から追放されて廃位となっている。
こうした事実から、かつては暴君として非難されていたが、歴史研究が進むにつれて政治的な業績が多いことが見直されてきた。そういう意味では、時代の変化とともに評価が一変してきた国王だ。そのことを把握しながら『ノクドゥ伝~花に降る月明り~』での光海君を見ていると、さらに興味が深まる。
ドラマの中でチョン・ジュノが演じる光海君は、チャン・ドンユンが扮するノクドゥとキム・ソヒョンが演じるドンジュと深い因縁がある。その人間関係はドラマが進むにつれてドキドキするように明らかになってくるだろう。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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