テレビ東京の韓流プレミアで放送中の『ノクドゥ伝~花に降る月明り~』も、いよいよ終盤を迎えてきた。それにつれて、カン・テオが扮しているユルムこと綾陽君(ヌンヤングン)が、どんどんワルになっていく。
ドラマには強烈な悪役が必要だが、『ノクドゥ伝~花に降る月明り~』では完全に綾陽君がその役を引き受けており、彼が物語を動かす「悪のキーパーソン」として不気味な存在になっている。
その綾陽君が暴露しているのが光海君(クァンヘグン)の悪夢時代。それは、我が息子(ノクドゥ)が生まれたときに殺そうとした悲劇的な過去のことだ。
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なぜ光海君はそんなことをしたのか。『ノクドゥ伝~花に降る月明り~』でもしきりに出てくる戦乱が彼を狂わせてしまったからだ。
その戦乱とは何か。ドラマの中では「壬辰倭乱(イムジンウェラン)」と呼ばれていた。
これは、日本でよく言う「朝鮮出兵」だ。
豊臣秀吉の命令によって日本の軍勢が朝鮮半島に攻め入ったのは1592年のことである。朝鮮王朝軍は当初敗退したが、李舜臣(イ・スンシン)将軍の活躍があって挽回し、結局は1598年に豊臣秀吉が世を去って戦乱が終わった。
朝鮮王朝は国土が荒廃するほど被害を受けたが、この戦乱の中で光海君の人生も大きく変わった。
それでも彼は王子として各地を回って兵を集めるという功績を上げている。一方、世子の座を争っていた兄の臨海君(イメグン)は加藤清正の捕虜になり、解放された後も屈辱から酒浸りになってしまった。
このように、戦乱の中で王子2人の運命が変わり、光海君は戦功によって世子の地位を決定づけることができた。
しかし、戦争の重圧は身体を壊すほどであり、『ノクドゥ伝~花に降る月明り~』では当時の光海君の苦しみがよく回想されていた。結果的に、生まれたばかりのノクドゥを殺そうとした事情も「壬辰倭乱」という戦乱が影響したのだ。
実際、光海君を語るうえで「壬辰倭乱」は絶対に避けて通れない過酷な過去であった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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