【深発見37】意外と知られていないビビンバの食材のヒミツ

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全州(チョンジュ)市の中心部に向かうためタクシーに乗る時、特に行き先が決まっていない場合、「客舎(ケクサ)」で降りれば、全体の位置がつかみやすい。

客舎とは、賓客や中央の官吏などが宿泊する施設のことで、朝鮮王朝時代初期の建築様式の建物である。正面には「豊沛之館」と書かれた額が掲げられている。
)の地であることを意味している。

客舎前の大通りを渡り、南に延びる道の突き当たりには豊南門(プンナムムン)がある。正面に「湖南第一城」と書かれた豊南門の名も、豊沛から来ている。

韓国にはソウルの南大門(ナムデムン)、東大門(トンデムン)や水原(スウォン)の八達門(パルダルムン)など、街中に城郭都市であった名残をとどめる門がある。

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ただこれらの門は大通りの中にあり、周りの景色とは隔絶された特別な存在となっている。

その点豊南門は、周りの道路が狭いこともあって、周囲と一体になっている。荘厳な中にも優美さがある豊南門と融合し合った全州の街並みは、それだけでも歴史を感じさせる。ちなみに、「湖南」とは全羅道(チョルラド)地方を指す。

客舎と豊南門の間のエリアには、「全州中央会館」「家族会館」といった有名なビビンバ専門店がある。

日本でビビンバといえば、石焼きビビンバの印象が強い。

確かに熱く熱せられた石の器でジューと音を立てながらかき混ぜて食べるビビンバの味は何とも言えないが、全州に来たら、石焼きでないビビンバがお勧めだ。

石焼きでない方が、山菜など当地で採れる食材の味を堪能できるし、何と言っても、色の鮮やかさを楽しむことができるからだ。

全州のビビンバになくてはならないのが、黄色く色づいた緑豆をつぶして寒天状にした「ファンポムク」である。

全州のビビンバは木、火、土、金、水の調和を説いた陰陽五行説の思想との関係で、青(緑)、赤、黄、白、黒の5色が不可欠だ。そのうちの黄色の部分を担っているのが、ファンポムクというわけだ。

また、豆もやしの雑炊、コンナムルクッパもこの地域の名物料理で、特に酔い覚ましとして人気がある。

文・写真=大島 裕史

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