韓国では時代劇ドラマだけでなく、時代劇映画も人気だ。
特に近年はスケールの大きい大作時代劇や、斬新な歴史解釈で娯楽性の高い時代劇映画が続々と誕生し、多くの人々から愛されている。
その人気を裏付ける興味深いデータもある。韓国映画の歴代観客動員数ランキングだ。
『神と共に』シリーズや『国際市場で逢いましょう』に『ベテラン』といった国民的メガヒット作を差し置いて、堂々の1位の座にあるのは2014年夏に公開され、史上初めて累積観客動員数1760万人を突破した『鳴梁(ミョンリャン)』なのだ。
邦題を『バトル・オーシャン 海上決戦』とする同作は、豊臣秀吉軍と戦った朝鮮王朝・水軍の李舜臣(イン・スンシン)将軍を主人公にした時代劇であるが、この『鳴梁』のほかに、イ・ビョンホン主演の『王の男』(1232万人)、イ・ジュンギ出演の『王の男』(1051万人)、ソン・ガンホ主演の『観察師』(913万人)、ソン・イェジン主演の『パイレーツ』(866万人)など、トップ30内の中に多くの時代劇映画がランクインしている。
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日本では時代劇映画がメガヒットすることは多くないが、なぜ韓国では時代劇映画が人気なのか。
ひとつはそのスケールの大きさにあると言える。
例えばその制作費。時代背景を再現するためのオープンセット、衣装、小道具はもろちん、臨場感ある戦闘シーンの撮影に不可欠な大規模なエキストラや派手な特殊効果などで、その制作費は一本あたり100億ウォン(約11億円)は下らないという。
そんな巨額の資金が投じられた作品だけに、スペクタクルで作品性も高い。つまり、映画としての完成度が高いのだ。
また、ストーリーの面白さもヒットの理由だろう。時代劇映画は歴史的事実を物語のベースにしたり、脚本のヒントにしており、さらにそこにさまざまな想像力が脚色され、斬新で娯楽性の高い作品を作ることができる。観客たちにファンタジーを提供できるのだ。
それでいて、現代劇以上に歴史観や政治観など作り手の意図も表現しやすく投影しやすく、観客たちも歴史的教養を深めることができる。娯楽性と知識性が両立されている。
そんな時代劇というジャンルに魅力を感じて、豪華な出演陣が実現するのも特長だろう。何しろペ・ヨンジュン、イ・ビョンホン、ヒョンビン、チュ・ジフンといった日本でも人気のスター俳優たちも時代劇映画に挑戦しているのだ。
テレビドラマで人気を得た俳優たちが映画に進出し、その映画の中でもスケールが大きくシリナリも魅力的な時代劇というジャンルを選ぶのは、当然の成り行きかもしれない。
作品のスケール。物語の面白さ。そして、出演俳優たちの豪華さと役者としての挑戦。
同じ時代劇であっても、韓流時代劇映画には韓流時代劇ドラマにはない魅力がたくさんある。付け加えて言えば、10話以上の連続ドラマで一度見逃してしまったらその後がわかりづらくなる時代劇ドラマとは違って、時代劇映画は正味2時間前後で物語が完結するだけではなく、その時代背景を学び楽しむことができる。ドラマとは違った歴史解釈を深めることも可能だ。
まさに2時間で楽しめる歴史エンターテインメント。韓流時代劇映画もぜひ、楽しんでみよう。
文=慎 武宏
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