『イ・サン』で王の虎の威を借りようとした側近は何を企んだのか

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ドラマ『イ・サン』では、全77話の中の後半は即位したあとのイ・サンの活躍ぶりが中心になるが、同時に台頭してきて登場人物として存在感を増したのが洪国栄(ホン・グギョン)だった。

ドラマの中では、俳優のハン・サンジンが意欲的に演じていた。

それでは、歴史的に洪国栄はどういう人物だったのだろうか。

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洪国栄はとても有能で、国政を大きく動かしていける逸材だった。その才能を正祖はよく理解しており、新しいことを始めるときは、一番信頼できる洪国栄に担当させた。洪国栄も王の期待によく応えていった。

こうして、洪国栄は政策の立案・実行から軍部の指揮まで、本当に多くの部門で責任者を歴任した。

もはや周囲は洪国栄のことを“王に次ぐ最高実力者”と見なすようになった。

『イ・サン』でハン・サンジンが演じたホン・グギョン

寿命を縮めた重圧

こうなると、年上の高官ですら、洪国栄のことを異様なくらい畏怖した。

結局、周囲の過剰なこびへつらいが起こってしまい。それが洪国栄を増長させるようになっていた。

そして、洪国栄の欲望に際限がなくなってきて、彼は大望をかなえようと策を弄し始めたのである。

それは何なのか。

洪国栄は国王の外戚になろうとしたのだ。

当時の状況を見てみよう。

実は、正祖の正妻である孝懿(ヒョイ)王后には子供がいなかった。彼女は性格がとても良くて周囲から慕われていたが、体調の面では病弱だった。

そこに目をつけて、洪国栄は自分の妹を正祖の側室として王宮に送り込んだ。それが元嬪(ウォンビン)・洪(ホン)氏であった。

そして、洪国栄は妹に対して「王の子供を絶対に産め!」と厳命した。

しかし、こればっかりは、思いどおりになるわけではなかった。

不幸なことなのだが、元嬪・洪氏は王宮に入ってきてから1年ほどで亡くなってしまった。もちろん、王の子供を産むことはなかった。

洪国栄は自責の念にかられた。彼が無理に妹を王の側室にしたのは事実だった。それが過度な重圧になって寿命を縮める結果になってしまったのかもしれない。

このあたりの経緯は、ドラマ『イ・サン』で細かく描かれていた。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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