チョン・イルが主演している『ヘチ 王座への道』は、NHKの総合テレビで日曜日に放送されていて、3月28日の放送で第7話がオンエアされた。
物語はどんどん佳境に入っていくが、チョン・イルが演じる延礽君(ヨニングン)は老論派(ノロンパ)との対決姿勢を強めて、自らの信念に基づいて行動していった。
一方、国王の景宗(キョンジョン)は、相変わらず政治の主導権を発揮することができず、権力者としての能力に疑問符がつけられていた。
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彼自身も不甲斐ないとも思っていただろうが、異母弟の延礽君に対しては期待している部分もあった。そこは、やっぱり兄弟同士なのである。
歴史的に見ても2人の関係はどうだったのだろうか。
景宗も延礽君も粛宗(スクチョン)の子供であり、景宗は1688年に生まれていて、延礽君は1694年の誕生だ。このように6歳の年齢差があった。
景宗の母は張禧嬪(チャン・ヒビン)であり、延礽君の母は淑嬪・崔氏(スクピン・チェシ/『トンイ』の主人公となった女性)である。
母親同士は犬猿の仲だったので、異母兄弟の景宗と延礽君も仲が悪かったと思われがちだが、特にそんなこともなかった。これは、景宗の性格に負うところが多かった。
景宗は性格的に優しく、人を攻撃するような人間ではなかった。
一方の延礽君が小さいころから性格が強気なところが多く、頑固な面もあった。それでも異母兄である景宗に対しては礼儀を尽くしていたので、兄弟が揉めることはなかった。
2人は母親同士の揉め事を横目に見ながら、子供時代は割と仲良く付き合っていたのだ。
大人になってからは、粛宗の後継者としての立場があったとはいえ、すでに世子(セジャ)は兄の景宗に決まっており、延礽君もそれに従っていた。
ただ、周囲が兄弟たちを巻き込んで権力闘争を行なっていたが、その中でも景宗と延礽君はお互いに尊重して付き合っていた。
ただし、景宗が即位した後、子供がいなかったので、延礽君は王位継承に並々ならぬ熱意を持ったことは確かだ。
それによって、2人の間がギクシャクしたことも確かだが、それは王位継承をめぐる問題が関わっているので仕方がないことだろう。
以上のように、景宗と延礽君は歴史的に粛宗の息子として秩序を持った関係を持っていた。
文=大地 康
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