チョン・イルが主演している『ヘチ 王座への道』は、物語が始まる時期が1719年である。
この年は、淑嬪・崔氏(スクピン・チェシ)が世を去ってから1年後だった。さらに言うと、19代王の粛宗(スクチョン)が亡くなる1年前である。
そういうことを考えると、『ヘチ』はちょうど『トンイ』という傑作ドラマの後日談という性格を持ったドラマなのである。具体的に説明していこう。
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『トンイ』では、終盤になってハン・ヒョジュが演じた主人公のトンイが粛宗の二男に当たる延礽君(ヨニングン)を大切に育てていた。
立派な王子になるための教育を、トンイは本当に熱心に行なっていた。そのおかげで、延礽君は人間性に優れた王族として成長していった。
その延礽君を主人公にしているのが『ヘチ』である。
ただし、このドラマでは延礽君が「身分が低い母親」から生まれたせいで、恵まれない境遇になっていた。いわば、トンイこと淑嬪・崔氏が息子のネックであるかのような描かれかたであった。
しかし、父親の粛宗は延礽君のことを心から頼もしく思っていた。そして、後継者になってほしいとも願っていた。
そういう意味では、ドラマ『トンイ』で施した延礽君の教育が『ヘチ』というドラマでも大いに活きていたとも言える。
さらに付け加えると、淑嬪・崔氏は「身分の低い母親」というより「息子を大成させた母親」と言い切ることができる。
一方、粛宗の長男である景宗(キョンジョン)は、『トンイ』でも描かれたように張禧嬪(チャン・ヒビン)の息子なのだが、出来がよくない人物として『ヘチ』でも描かれている。
いずれは粛宗を継いで20代王の国王になるのだが、統治者の能力が低く、結局は政治を混乱させてしまう。
こうしてみると、淑嬪・崔氏の息子と張禧嬪の息子は能力的には対照的になっている。
そんな描きかたを見ると、『トンイ』の後日談として『ヘチ』はとても面白い設定になっていると言える。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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