テレビ東京の韓流プレミアで放送中の『帝王の娘 スベクヒャン』。11月30日放送の第27話では、密偵をめざしているヒロインのソルラン(ソ・ヒョンジン)が百済(ペクチェ)の歴史を学んでいる場面があった。
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その説明の中でソルランが「百済が高句麗(コグリョ)と兄弟国だった」という歴史を知ってびっくりしていた。それは、無理もない。
『帝王の娘 スベクヒャン』で高句麗は憎い仇の国としてひんぱんに出てくる。ところが、かつては兄弟国だったという。視聴者の中にも驚いた人が多かったのではないだろうか。
それは、百済の建国当時の話だ。
最初に出てくるのは高句麗を紀元前37年に建国した伝説の英雄、朱蒙(チュモン)だ。
彼には3人の息子がいた。先妻が産んだ瑠璃(ユリ)と、後に生まれた沸流(ピリュ)と温祚(オンジョ)だ。
結局、朱蒙が後継者に指名したのは瑠璃だった。内紛になってはいけないので、沸流と温祚は信頼できる家臣と高句麗を去り、南に移っていった。
沸流は海浜に新天地を見つけて、そこに定住した。それが今の仁川(インチョン)の付近である。しかし、温祚はその土地が気に入らず、もっと人々が豊かに暮らせる場所を必死に探した。その末にたどり着いたのが慰礼城(ウィレソン/今のソウルの郊外)であった。
温祚が狙ったとおり、慰礼城は住みやすいところであり、紀元前18年に都を築いて国号を十済(シプチェ)にした。
この国は大いに発展した。一方、沸流は痩せた土地に苦しみ、苦労の末に亡くなった。すると、沸流に従っていた民たちも十済に移り、この国はさらに大きくなった。
そこで、国号を「百済」に改めた。
このように、百済は高句麗から分離した国であり、当初は兄弟国として仲が良かった。
しかし、時を経るにしたがって仲が悪くなり、『帝王の娘 スベクヒャン』が舞台になっていた6世紀前半は関係が最悪になっていた。
こうした歴史的な背景を知っておくと、ドラマをさらに興味深く見られるだろう。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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