テレビ東京の韓流プレミアでは『帝王の娘 スベクヒャン』が快調に放送されているが、このドラマの舞台になっているのが百済(ペクチェ)だ。紀元前18年から660年まで存在した王朝であり、日本では「くだら」と呼称されている。
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歴史的に百済が存続したのは「三国時代」である。その頃、朝鮮半島では北部の高句麗(コグリョ)、東南部の新羅(シルラ)、西南部の百済が激しい領土争いを繰り広げていた。
こうした三国の中で百済が地理的に優位だった。それは、肥沃な平野が多かったからだ。山間地帯が多かった高句麗と新羅よりは百済は土地が恵まれていたのだ。そうした有利さを生かして、百済は王朝が栄えた時期が多かった。
しかし、最も懸念材料になっていたのが、武力に勝る高句麗が暖かい地域を求めて南下政策を取っていたことだ。百済は常に高句麗の脅威に備えなければならなかった。
そんな百済の24代王が東城王(トンソンワン)であり、479年から501年に在位していた。『帝王の娘 スベクヒャン』でも冒頭で東城王が登場していたが、この王が暗殺されたことで、次に武寧王(ムリョンワン)が501年に即位した。ドラマではイ・ジェリョンが演じている。
武寧王は朝鮮半島の歴史書『三国史書』で「容貌が美しく、情が深く、性格が寛容であった。民衆は彼を慕っていた」と最大級の称賛を受けて書かれるような名君であった。
武寧王は数々の善政を行ない、国力を発展させた。彼の国王としての優れた力量によって百済は絢爛(けんらん)たる王朝文化を隆盛させた。
このように、『帝王の娘 スベクヒャン』は百済が最も栄えた時期の物語なのである。その全盛時期を開いた武寧王は523年まで在位して、王朝を引き継いだのが聖王(ソンワン)であった。ドラマでは若き日の聖王をチョ・ヒョンジェが演じている。
韓国時代劇というと朝鮮王朝を舞台にしたドラマがとても多いが、『帝王の娘 スベクヒャン』のように古代を壮大に描いた時代劇もスケールが大きくてとても面白い。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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