『宮廷女官 チャングムの誓い』の名声によって、「時代劇の女王」とも称されているのがイ・ヨンエだ。
彼女が2017年に主演した時代劇が『師任堂、色の日記』である。このドラマでイ・ヨンエは、韓国の最高額紙幣5 万ウォンの肖像画にもなっている申師任堂(シンサイムダン)に扮していた。
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朝鮮王朝時代に「良妻賢母の鑑」と称された才女だが、果たしてどんな女性だったのか。
申師任堂は1504年に生まれた。幼い頃から絵の才能が抜群だった。
7 歳のときに、有名な画家の山水画を模写したが、それを見た人が「本物よりうまいんじゃないか」と称賛した。そこまで褒められても、幼い申師任堂は「写すだけでは満足できません」と言ったという。すでに独自の画風を探求していたのだ。
彼女が動物を描くと、まるで紙の上で生きているかのようだった。あるとき、虫を描いた申師任堂がその絵を庭で乾かしていると、ニワトリが寄ってきて絵の中の虫を本当に食べようとした。
絵画から刺繍に至るまで特別な才能を持っていた申師任堂だが、男尊女卑の風潮が根強かった朝鮮王朝時代に、女性が芸術性を伸ばす生活を続けることは難しく、彼女も親が決めた結婚に従わざるをえなかった。
夫は生活力のない男で、日々の暮らしは苦しかった。そんな中でも、申師任堂は子供たちをりっぱに育て上げた。“ダメ亭主”の典型だった夫もようやく一念発起して、「科挙に受かるまで戻ってこない」と決意して故郷を後にした。
しかし、夫は挫折してすぐに帰ってきてしまった。
このとき、申師任堂が取った行動が語り草になっている。彼女は裁縫箱からハサミを取り出して、それを喉に当てた。
「あなたが約束を守れないなら、私は死にます」
夫は驚愕し、必死に妻を止めた。そして、自らの至らなさを詫びて、今度こそ念願の科挙に受かるまで自宅に戻ってこなかった。
そんな申師任堂の息子も儒学の大家として有名で、5 千ウォン紙幣の肖像画になっている。母と息子が共に紙幣の肖像画になる例は、世界でも他にないのではないか。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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