シンドロームを巻き起こしている『涙の女王』で究極のラブロマンスを展開するヘイン(キム・ジウォン)とヒョヌ(キム・スヒョン)。2人はつくづく優秀だと思える。ヒョヌは最難関のソウル大学法学部を優秀な成績で卒業するほどの天才肌だし、ヘインも財閥クイーンズグループのデパート部門を仕切って辣腕をふるっていた。能力的にもヒョヌとヘインはレベルが最上位だ。
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それなのに2人の父親を見ると、「本当に血がつながっているの?」と拍子抜けするほど存在感が薄い。たとえば、ヘインの父のホン・ボムジュン(チョン・ジニョン)はクイーンズグループの副会長になっているが、立派なのは肩書だけだ。
カリスマ的な威厳を示す会長のホン・マンデ(キム・ガプス)の息子で財閥の後継ぎなのだが、経営者としての切れ味がない。情けないことに、仕事よりジグゾーパズルばかりしている。
事情はヒョヌの父のペク・ドゥグァン(チョン・ベス)も同じだ。龍頭里(ヨンドゥリ)の里長をしていて梨畑とスーパーを持っているのだが、どことなく凡庸な印象が強い。しかも、龍頭里の里長選挙でも落選してしまい、肩身の狭い境遇となった。
そんなドゥグァンと好対照なのが、ヒョヌの母親のボンエ(ファン・ヨンヒ)と姉のミソン(チャン・ユンジュ)だ。2人とも生活力があり、発言にも説得力がある。ドゥグァンとは頭の回転がまるで違う。それだけに、なおさらドゥグァンの凡庸さが目立ってしまうのだ。
しかし、それが『涙の女王』というドラマの狙いかもしれない。財閥の副会長ながら片鱗を見せないボムジュンと龍頭里の里長をやったのに人望がないドゥグァンは、ギスギスする人間関係の中の「ゆるキャラ」を担っているのだ。それでこそ、ドラマは「緊張」と「弛緩」のバランスをうまく取れるようになるのである。
『涙の女王』も終盤を迎えていく。パッとしないダメ親父たちがドラマをさらに盛り上げてくれることは名違いない。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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