Netflixで配信された『家いっぱいの愛』は、ベテラン俳優のチ・ジニとキム・ジスが本当にいい味を出して元夫婦を演じていた。チ・ジニが扮しているピョン・ムジンは、かつてプロ野球の花型選手だった。
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しかし、不本意な形で引退を余儀なくされた後、何をやっても失敗ばかりして家族に迷惑をかけていた。その末に、キム・ジスの演じていたクム・エヨンが運営していた食堂を自らの失敗で潰してしまった。もう何をやってもダメなひどい男だったのだ。
そんなムジンを敬遠していたのが長女ミレ(ソン・ナウン)だ。長男ヒョンジェ(ユンサナ/ASTRO)のほうはそんなことがなかったのに、ミレは高校生の頃から父親が大嫌いで、顔も見たくないほど非難していた。
また、エヨンもムジンを毛嫌いしていた。そんな風に妻と娘に見放されたムジンは、ずっと行方不明で死んだものと思われていたのに、突然、家族の前に戻ってきた。しかも、エヨンたちが住むマンションの新しいオーナーになっていた。
一文なしだった男が、一転して資産家になったのだ。「どんな詐欺を働いて金を儲けたのか」とマンションの住民たちもムジンを怪しい男だと見なしていたが、ムジンはむしろ謙虚だった。
家族と一緒に暮らすために、彼は本当に努力をしていた。そういうことがドラマの終盤になって徐々にわかってくる。実際、「典型的なダメ男が実は家族思いの最高の男だった」という展開になっていくのがとても良かった。
そんなムジンの願いは、再びエヨンと一緒に暮らすことだった。果たして、それは実現したのかどうか。いずれにしても、あんなに情けなかったムジンがきちんと自分を再生させたところに、『家いっぱいの愛』の痛快な逆転劇があった。
人生は本当にやり直せるのだ……『家いっぱいの愛』を見ていると、つくづくとそう思えてくる。そういう意味で、このドラマは「どんなに苦しくとも諦めてはいけない」ということをじっくりと教えてくれた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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