『宮廷女官チャングムの誓い』が放送されたのは2003年から2004年である。それから20年が経っているが、『宮廷女官チャングムの誓い』でミン・ジョンホを演じたチ・ジニは、今年は新作として『家いっぱいの愛』に主演している。
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このドラマでチ・ジニが演じるのはムジンという男だ。かつては失敗ばかりして家族に迷惑をかけて、最後はみんなから見放されてしまった。そのあげく、死んだと思われて1周忌の法事まで行われた。
そんなときに現れたのが、死んだはずのムジンだった。彼は家族が住むマンションの新しいオーナーになっていた。反発したのが、元妻のエヨン(キム・ジス)と娘のミレ(ソン・ナウン)であった。
2人は死んだはずのムジンが生きていることを喜ぶどころか、まったく信用していなかった。それも仕方がない。かつてのムジンは、借金まみれで家族に見捨てられた男だからだ。どん底まで嫌われていたのだから、そう簡単には許してもらえない。
それはムジンもよくわかっているので、彼はいろいろと策を弄したのである。こうした人間性を見ていると、『宮廷女官チャングムの誓い』で演じたミン・ジョンホとのあまりの違いに驚いてしまう。
実際、ミン・ジョンホは優れた人格を持っていた。頭脳明晰で大いに出世できるのに、悪を懲らしめるためにあえて官僚の不正摘発に取り組んだ。しかも、とことん苦境に陥っていたチャングムを大いに助け、彼女のために一生懸命に尽力した。特に、本当にチャングムが困っていたときに、いつもミン・ジョンホが颯爽と現れてくれた。まさに、朝鮮王朝時代の最高のヒーローでもあった。
そんなミン・ジョンホをチ・ジニは真摯に演じて好評を博した。安定した演技が見事だったし、巧みな表現力は視聴者の心を和ませた。
『宮廷女官チャングムの誓い』から『家いっぱいの愛』へ。20年の歳月を隔てて2つの役を演じたチ・ジニ。真逆の役を多彩にこなしたチ・ジニはとても信頼できる俳優だ。
文=大地 康
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