テレビ東京の韓流プレミアで放送されている『宮廷女官チャングムの誓い』には、医女として活躍する主人公のチャングムを、イ・ヨンエが見事に演じている。
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さらに、イム・ホが朝鮮王朝第11代王・中宗(チュンジョン)を演じ、パク・チョンスクが中宗の三番目の正室である文定(ムンジョン)王后に扮するなど、多くの俳優が須原良い演技を披露している。
このドラマをきっかけにして、朝鮮王朝のことに興味を持つ人が増え、『宮廷女官チャングムの誓い』は朝鮮半島の歴史を知る上でとても重要な役割を果たした。
とはいえ、このドラマは王宮の暮らしぶりを克明に再現してくれたのだが、人物の設定に関しては、あまり史実には合っていなかった。つまり、キャラクターはかなりフィクションで作られていたということだ。
そうした具体例を挙げてみよう。
・チャングムのケース
主人公のチャングムは実在の人物であり、朝鮮王朝の歴史を詳しく記した『朝鮮王朝実録』にもチャングム(長今)が登場する。しかし、その記述は合計10カ所くらいであり、職務の説明はされているが、どういう人物でどんな人生を送ったかということに関しては記述がない。
また、医女であったことは間違いないが、料理人でなかったことは明らかだ。つまり、チャングムは実在だけは確認されるが、人物像は98%は創作だったと思われる。
・中宗のケース
『宮廷女官チャングムの誓い』では、中宗は実に立派な国王として描かれていて、政治においても有能に仕切っていく場面が設定されていた。しかし、実際の彼は、優柔不断な国王であり、政治的に業績もほとんどなかった。ドラマでは中宗をすばらしい国王のように描きすぎているが、実際は違かったのだ。
・文定王后のケース
ドラマと史実でまったく人物設定が異なっていたのは、中宗の妻であった文定王后だ。『宮廷女官 チャングムの誓い』では文定王后は品のいい王妃として登場することが多かった。しかし、実際の文定王后は血がつながっていない息子の仁宗(インジョン)を毒殺した疑いが濃い女性で、典型的な悪人だった。
『宮廷女官チャングムの誓い』も後半に入ってますます面白くなっている。ドラマの中でそれぞれの登場人物を演じる俳優たちの演技をぜひ堪能してほしい。
文=大地 康
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