テレビ東京の韓流プレミアで快調に放送中の『ノクドゥ伝~花に降る月明り~』では、チャン・ドンユンとキム・ソヒョンという主役2人がハラハラするような恋愛関係を演じていて興味深いのだが、その間に割って入ってくるのがカン・テオの演じるユルムである。
彼はドラマ序盤で「若様」として優雅な姿を見せていたが、回を追うごとに怪しい手動きをするようになり、ついにはその正体が完全に明らかになった。
なんと、ユルムは綾陽君(ヌンヤングン)だったのである。
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この綾陽君は、歴史的に言うと、1623年にクーデターを起こして光海君(クァンヘグン)を王位から追放した王族だ。そして、自ら即位して16代王の仁祖(インジョ)になっている。
確かに、綾陽君はクーデターを成功させるまでは巧みな統率力を見せて能力の高さを示していたが、王になってからは失政続きで評価がガタ落ちになっている。
そういう意味では、毀誉褒貶がとても多い人物なのだが、『ノクドゥ伝~花に降る月明り~』というドラマは1610年代半ばを描いていて、このときはまだ綾陽君はさしたる力を持っていない王族だった。
さらに、彼は光海君の甥ではあるのだが、弟が謀反の疑いをかけられて殺されたので、光海君のことをとても恨んでいた。
そして、復讐を果たすために同志を集めて、やがてクーデターを起こすようになっていくのである。
このような動きを光海君と側近たちは見過ごしてしまった。それは、綾陽君のことを甘く見てしまったからだ。しかし、綾陽君は執念深い性格で、内密に同志をどんどん増やして、決起する時期を慎重にさぐっていったのである。
そんな綾陽君の様子は『ノクドゥ伝~花に降る月明り~』でもしっかり描かれていた。彼は様々な策を弄しながら光海君の政権を覆す機会を狙っていた。
そういう裏を持っていた綾陽君の役をドラマではカン・テオが多様な演技で表現しきっていた。いずれにしても、『ノクドゥ伝~花に降る月明り~』では綾陽君が怪しい正体を隠しながら主人公2人の仲を引き裂こうとしている。
後半に向けてドラマはますます波乱万丈になっていくだろう。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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